キーボードの押下圧を計る重りの自作

分銅でキーボードの押下圧を測る記事をサブブログに書きました、、、

↓これなんですが、面倒くさくてもう使いたくないのが正直な感想です。

↓なので、もう少しマシなキーボードの押下圧チェックができるアイテムを自作しました。

※押下圧を計ったのはRealforce 108USという30g等荷重の、新品と、6年間使い倒した中古。

東プレ(Topre Corporation)
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キーボードの押下圧を計るアイテムを自作

キーボードの押下圧を手軽に計りたいのに、毎回分銅を乗せてたら面倒すぎるので、

1gごとの重りをたくさん作りました

使えそうな部品は以下の通り。

↓完成イメージ

裏面にグラム数を油性ペンで。

作ってみて感じた注意点を先に書いておきますが、長めのボルト(50mmくらい)のほうが使いやすいです。最低でも38mm。ボルトが短いと不安定になります。

そして、ひっつき虫などの粘着ラバーは、最後のごくわずかな微調整用に使わないと、垂れて悲惨なことになります。

↓これは「ひっつき虫」をたくさん付けた例です。溶けるように流れてしまいます。個人的には「ブルタック」のほうが用途に合っていると思います。

ーーー

金属部品はほとんどホームセンターで揃います。

↓各部品の重さはこちらを参考に。(メーカーによって違うだろうからあくまで目安)

W3
10mm
W5
8mm
ボルト 65mm 37.2g 25.0g
ボルト 50mm 30.9g 20.6g
ボルト 38mm 25.6g 17.2g
ナット 10.1g 5.7g
ワッシャー 3.1g 2.1g
Wリング 0.62g 0.36g

ボルト

まずは「W3」と「W5」2種類の太さのボルト。

押下圧30g以下も計りたい人は細いボルトが必要になるでしょう。

↓値段はこんな感じ。長さは50mmが使いやすい。最低でも38mm。

W3
10mm
W5
8mm
ボルト 65mm 37.2g 25.0g
ボルト 50mm 30.9g 20.6g
ボルト 38mm 25.6g 17.2g

できれば長さ50mm・65mmのどちらかで、計測したい重さに近いボルトにしたほうが、調整が楽で値段も安くなります。

※ボルトとナットがニコイチで売られているものもありますが、ボルトはボルトだけで買ったほうが安くなります。(ここらへんはホームセンターによって違うかもしれないのでいろいろ見てください)

ナット・ワッシャー

ナットやワッシャ(座金)は50個とか100個セットになったやつを買う。ワッシャのほうが使う量は多くなります。

だいだいワッシャ3個でナット1個くらいの重さになるので、そんなに大量に作らないのならナットは無くてもいいかもしれません。

Wリング

Wリングは以下のサイズがボルトに使えます。

  • 内径8mm → W5ボルト
  • 内径10mm → W3ボルト

Wリングは、ワッシャーよりも1個あたりの値段が高いので、事前にボルト・ナット・ワッシャーでうまく調整したほうが節約になります。

ーーー

※ちなみに微調整用の部品としてとりあえず使えそうなWリングを紹介しましたが、他に内径10mm・8mmの何かがあれば使えるはずです。

プラスチック製のワッシャーやゴム製のOリングが使えるかもしれません。

でも軽すぎると逆にコスパが悪くなるので、Wリングくらいがちょうどいいと思います。

ひっつき虫・ブルタック

コクヨのプリットひっつき虫や、長光のブルタックは、もともとポスターの貼り付けなどに使う、ネリケシみたいな粘着ラバーです。

最後の最後、0.1g単位の調整で役に立ちます。

あるとしたら文房具・展示物・接着剤コーナーあたりか。ホームセンターに無ければ文房具屋で。

↓実際に中身を使うときはこのように取り出します。

どちらも使った使用感としては、ブルタックのほうが形が崩れませんでした。

ひっつき虫はちょっと柔らかくて、長時間たつと溶けるような感じ。

なので、今回の用途ではブルタックのほうがおすすめです。

ただ、どちらにしろ粘着ラバーは、汚れがつくとか、中身の成分が揮発するとかで、重さが変わるんじゃないか?という不安要素があるので、使わずに済むなら使わないほうが良いと思ってます。

0.1gまで計れるスケール

1g刻みで重りを用意するには、最低でも0.1g刻みのスケールが必要になるでしょう。

このスケールの説明書によると、0.1g刻みの微量モードでは200gまで計測できて、精度保証が±0.2~0.3gとのこと。あと四捨五入されるか切り捨てか分かりませんけど、前後1gくらいの誤差を覚悟すればおおむね大丈夫かなと。

0.01g精度のスケールもありますが、信用できるメーカーなのか判断がつきません。

育苗トレイ

重りは転がりやすいので、ホームセンターの農業コーナーにある「育苗トレイ」をケースとして使うのがおすすめ。

お値段なんと118円でした。

(硬いので切るのは大変ですが)プラスチックなので好きなサイズにできます。

普通のハサミだと大変だったので、こういうとき万能ハサミがあるとすごく便利。

そのままだと持ち運びにくいので、ダイソーのキッチンコーナーにあるトレイを使うと便利。

工具ケース

作業する時はこんなふうにバットにぶちまけてもいいけど、

ひとまとめにできるケースがあると便利です。ボルトやナットがかさばるので、少し深めのケースを買いました。

押下圧の計り方

こうして用意した重りを、重たいほうから乗せていき、押下状態にならなかった重さの1g上の重さを採用します。(詳しくは後述)

乗せるときは勢いがつかないように慎重にして、まっすぐ落ちる位置で押下するために微妙に位置を変えながら……という作業を繰り返したので結構神経を使います。

↓押下状態はこういう感じ。見た目だけじゃなく、実際に文字入力されたら押下状態と判定します。

例えば、

  • 38g 押下
  • 37g 押下
  • 36g 押下状態にならず

であれば、37gを採用します。

ーーー

↓キートップの上からではなく、分解したラバードームで直接計ったらこんな感じ。

個人的にはこっちのほうが全キーを並行にして同じ条件で計れるので比較しやすくなります。

正式な押下圧ではない

これらは力のかかる方向が完璧にまっすぐにはできないので、おそらくメーカーの公称値とは違い、自分のキーボードを比較するくらいの用途にとどまります。

この記事で書いてある押下圧はあくまでこの記事の中だけの比較として用いていることを踏まえて読んでください。

Realforceの押下圧を中古と新品で比較

この押下圧チェックアイテムを使って、かねてからなんだか重たくなったんじゃないか?と感じていた、Realforce 108US(30g等荷重)の押下圧を比較しました。

  • 6年使い込んだRealforce108US(新品購入、少なくとも2000万打鍵以上)
  • 新品未使用のRealforce108US

その結果、キーによっては驚くほどの差があることがわかりました。

↓キートップをつけた状態で押下圧チェック。


※タップで拡大

Realforceは段によって角度が違い、上段と下段をまっすぐに計測するのが難しく、数も多くなるため、QAの段のみを計測しています。

また、押下圧の差によって、2~3g4~5g6g以上、のように色分けしました。中古のほうがすべて重たく、赤い色ほどその差が激しいキーです。

使用頻度が高いキーほど劣化とかで重たくなるのかな?と思っていましたが、実際はそんなことないようです。(頻度が高いAは差が小さめで、中古でもそんなに重くなっていなかった)

新品中古どちらにも言えますが、30g等荷重のモデルでも、左が軽く、右が重たくなっています。

  • 新品は左端31g~右端36g
  • 中古は左端33g~右端41g

※これは中古・新品どちらのRealforceにも見られた傾向でした。

他には例えばラバードームを自分の好きな位置に配置できるリベルタッチでは見られなかったので、「Realforce特有」か「一体型のラバードーム特有」の可能性がありそうです。他にもいろいろ押下圧を計ってみないとわかりませんが、そこまでのやる気は起きません。

この結果を見ればわかるとおり、ひとつのキーの押下圧だけ計測しても、そのキーボードの押下圧は判断できなさそうです。

中古の押下圧が重たくなる原因は?

中古Realforceの押下圧が重たくなる原因が何なのか調べるために、一つだけ条件を変えながら押下圧をチェックしていきました。

まず押下圧を決定している部分を特定します。

  • 潤滑剤の剥がれによる引っかかり
  • コニックリング(ラバードームの下にあるバネ)
  • ラバードーム

潤滑剤については脱脂してから、キーボードに使われる潤滑剤「スムースエイド」を塗布しても押下圧には変化が無かったのでたぶん違います。

コニックリングは、軽いキーの箇所と入れ替えても押下圧に変化は無かったので違います。

そして、ラバードームは軽いキーと配置換えしたり、穴を空けたりしたらハッキリと押下圧が変わったので、押下圧を決めているのはラバードームです。

ーーー

ということは、ラバードームが6年のうちに変質して重たくなった可能性が考えられます。

ただ、昔に新品で買ったときの状態がわからないので、まだ次の可能性があります。

  1. 実は最初から重たかった
  2. 酷使して変化した
  3. 経年で変化した

このうち、なんだか昔より重たくなったなぁと感じることが増えてきていたので、たぶん①は違うと思います。

②数千万打鍵の打鍵数で酷使して変化するなら、使用頻度が少ないPが重たくなってAがあまり変わらないというのが矛盾するので違うような気がします。

ということで消去法になりますが、③の経年でラバードームが変化したのかな?と今のところ考えてます。

※記事を書いた当初は潤滑剤についていろいろ書いていましたが違ったので、大幅に加筆修正しました。

ラバードームに穴を空けて押下圧を軽くする方法も実験して、成功したと思うので、そのうち記事に書きます。

初代Realforceから離れられない

この結果を見ると、中古のRealforceを買うときは使用頻度に気をつけないといけないので、いっそのこと新品を買ったほうが余計なこと考えずにすんで良いんじゃないかと思うけど、初代Realforceは生産終了してプレミアになってるし……。

無変換キーをCtrlに、変換キーをShiftに割り当てて、ホームポジションのままショートカットキーを駆使するので、どうしてもスペースキーが短いモデルじゃないといけないんですよね。

↓Realforce 108USはお察しの通り、もうずっとプレミアです。

東プレ(Topre Corporation)

他に同じ配列で満足できる打鍵感は富士通 リベルタッチ 35gくらい。(だとしてもやっぱりRealforceのほうが良い)

もしくは東プレさん、初代Realforceを再販してください。

ーーー

関連:Realforceの比較・選び方

関連:キーボード配列のレイアウトを考えるのに便利なスプレッドシート

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