キーボード配列を考える手助けになるスプレッドシートを作ってみました。
配列開発者や自分なりのカスタマイズをする人が、キーの入れ替えを検討したり、ブログに掲載するときに便利です。
↓見た目はこんな感じ。(例:JIS配列)
いくつかのテンプレートが用意されていて、Excelを使うみたいに自由に編集できます。
※リンク先は閲覧専用になっているので、自分用に編集するときは「ファイル」→「コピーを作成」して、自分のGoogleドライブに保存してください。
- キーの向きを斜めにできない(自作キーボードは後述するkeyboard-layout-editor.comのほうが自由度高め)
- 4分の1キーより細かい位置調整はできない(1キーあたり4 x 4マス)
テンプレート
既存の配列など、ある程度のテンプレートを用意しています。
QWERTY印字+ n面
自作配列を誰かに見せる場合、QWERTY配列のアルファベットとの位置関係を示すための、
- QWERTYの印字+1面
- QWERTYの印字+2面
- QWERTYの印字+3面
などのシートをあらかじめ用意しています。
QWERTYの印字+1面
QWERTYの印字+2面
QWERTYの印字+3面
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もしシフト4面以上にしたり、セルの大きさを変えたいなら、自分でいじったり、このあと紹介する 6面・9面のテンプレートを利用してください。
シフト面色付き
シフト面を使う配列だと、単打とシフト面の違いがわかりにくくなるので、あらかじめ色分けしたテンプレートを用意しています。
↓こういう感じで、色分けしたほうがシフト面がだいぶわかりやすくなると思います。(例:[3面(色)]シート)
空白(4面)
シート名「空白」。
最初から何も印字されていない、4面レイアウトです。
ある意味これが最も汎用性があるかもしれません。
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ここまで紹介したテンプレートはどれも同じ 4×4 サイズのキーが使われているので似たりよったりです。
シフト面の数を変えたり色を付けたりするのは、後述する基本操作を覚えれば自分でカスタマイズできるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
6面・9面
シフト面が多い配列用の「6面」「9面」です。
ただしフォントサイズが小さくなるので、拗音拡張など、2文字入るキーが見にくくなってしまうのがデメリット。
たとえば「きゃ」のような2文字がセル内に入るようにフォントサイズを小さくしていますが、必要であれば自分で調節してください。
6面
9面
格子配列
自作キーボードユーザーが使うかもしれないので、格子配列の「格子」シートもとりあえず用意しています。
ただし、スプレッドシートなので、セルを斜め向きにすることはできません。
分割キーボードを表現するなら、真ん中あたりの罫線を消したり、列を挿入したりしてください。
多種多様な自作キーボードを表現するのは、スプレッドシートでは限界があると思います。
※キーを斜めにしたり微妙な位置調整をするなら、後半で紹介するKLE(keyboard-layout-editor.com)をご利用ください。
一般的なキーボード配列
とりあえずのスタンダートの目安として使うかもしれないので、以下のシートを用意しています。
QWERTY1面のみ
JIS配列
US配列
JIS配列のフルキーボード
既存のキーボードを部分的に変更するような自作配列だったら便利に使えるかもしれません。
もしくは、配列をいじるためではなく、単純に配列図を使いたいときに便利です。
キーボード配列表の使い方
この「キーボード配列」共有スプレッドシートではいろいろなことができるので、ひと通り操作方法を説明しておきます。
「コピーを作成」で自分用にダウンロード
まず前提として、共有スプレッドシートは「閲覧専用」にしているので、いじるなら、「ファイル」→「コピーを作成」で、自分のGoogleドライブにダウンロードしてください。
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※ちなみに画面右上に閲覧中のユーザーが表示されますが、「匿名ヒョウ」のような表記なので、誰が見ているのかは管理者にも分からないようになっています。
ただし、「管理者」と「編集権限を与えたアカウント」のアカウント名は閲覧ユーザーに見られるので、自分が管理者の立場になって公開することがあるなら気をつけてください。
参考:ファイルに表示される匿名ユーザーや自分の知らないユーザー – ドキュメント エディタ ヘルプ
文字キーの入力
セルに直接入力するだけで編集することができます。
シフト面の数などによって、フォントサイズはある程度最初から調節しています。
キーのシフト面を決めてコピペ
自作配列だと、シフト面が3面や4面の場合もあると思うので、各種シートを用意しています。
例として「空白」シートを開いて、
- 下に並んでいるテンプレートをひとつ選択してCtrl+Cでコピーして、
- 横1行を範囲選択してCtrl+Vで貼り付け
- 4行繰り返し。(セル結合の関係で、まとめてコピペはできません)
↓例として「空白」シートで3面シフトを貼り付けした完成図。
あとはセルに直接入力していきます。
フォントサイズはある程度調整していますが、変更したかったら、下に並んでいるテンプレートをカスタマイズしてからコピペすると楽です。
スプレッドシートの「セルの結合」を使えるようになると、いくらでも好きにカスタマイズできるのでぜひ覚えてください。
特殊キー(最下段)の変更
最下段のレイアウトはとりあえずRealforceのもの(N右割れ)にしていますが、変更したいなら、下のほうにあるテンプレートからコピペしてください。
富士通純正のものや、各種割れ位置のキーボードを取り揃えています。
印刷の注意点
そのまま印刷しようとすると、下にあるテンプレートが邪魔になるので、「選択中のセル」のみ印刷にしたほうがいいと思います。
そして、余白を変えると、印刷時のキーピッチを調節できます。
プリンターの環境によって違うかもしれませんが、自分は余白「狭い」でA4用紙に印刷すると、キーピッチが18mmになりました。
ちなみに、なぜかスプレッドシートしか直接印刷はできず、いったんPDFで開いてから印刷するようになりました。これは環境によって人それぞれかも。
印刷した紙に指を乗せれば、配列も考察しやすくなるかもしれませんね。
↓これは印刷してキーピッチ18mmの上に指を乗せたイメージ。
キーごとの打鍵数を分析
「1万字のかなを入力する場合の打鍵数」のように、キー別の打鍵数と、色分けが自動でされれば便利かと思って、作ってみました。
スプレッドシートの中の「打鍵数」というシートにあります。
↓QWERTYローマ字の打鍵数を入力した見た目がこんな感じ。
キーごとの打鍵数を入力すると、
↓打鍵数が多いキーを自動で濃くするカラースケールが適用
↓左右の手別、指別の打鍵数とパーセンテージが自動計算
↓段別の割合を自動計算
↓1かなあたりの打鍵数を自動計算(Shiftありの配列だと、Shiftの有無を別々に計算)
というような感じで、配列の評価を見やすくできるので、分析の結果を人に見せたい用途に向いていると思います。
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また、さらに突っ込んだ使い方として、標準運指ではない、独自の運指でキーを打っている人が指別のパーセンテージを知りたい場合に使えるのが「打鍵数(独自)」シートで、
下のほうにある入力欄に、どのキーをどの指でどのくらい打つのか入力すると、自分だけの指への負担を計算できます。
たとえば自分はタイピングの最適化をそこそこやっているほうで、特に右手中指を使う割合が大きく、標準運指よりもパーセンテージがかなり変わります。
keyboard-layout-editor.com
keyboard-layout-editor.comという、キーボード図をカスタマイズできるWebサービスがあるんですが、自分用に作ったシートを公開しておきます。
スプレッドシートの中の「KLE」というシートに、以下のようにリンクと画像を並べました。
タイピングの最適化の記事では、押さえるキーに色を付けた図解を多用しているので、使用例として参考にどうぞ。
KLEでは、キーの向きを斜めにしたり、微妙な位置調整ができたり、スプレッドシートよりも細かいカスタマイズができるので、目的によって使い分けることができると思います。
運指表
ついでに思いついて作ったものなので配列作者用ではないですが「運指」というシートに、どのキーをどの指で打つのか図解できるものを作りました。
↓ひとつのキーにつき4分割まで色が塗れます。
- 1キーに3指以上の担当
- 中央付近のキーを飛び越えて中指が打鍵する
など、特殊な運指をする人向けです。
ただし、色を塗るために印字部分をテキストボックス使って変なやり方をしているので、QWERTY以外の印字まで用意できず、非常に融通が効かない仕組みになってます。実質、QWERTY専用です。
そこまで運指が飛ばないなら、Webサイトで完結する「みんなの運指表」のほうが簡単に作成できます。
スプレッドシートの基本操作
自分でいじるときに覚えておくと便利な、スプレッドシートの基本操作をざっと説明しておきます。
これができるようになると、テンプレートから、さらにカスタマイズが可能になります。
キーデザインのカスタマイズ
キー1個は、4 x 4マスのセルで構成されています。
そのため、配列で使う面の数に合わせて、自分でセルを結合・解除していじることができます。
あとは「枠線」「フォントサイズ」「塗りつぶしの色」などを使えば、いろいろできますね。
書式の一括反映
キーに色を塗るとき、ひとつずつ色を塗っていたら時間がかかってしまいます。
そんなときは、1キーを範囲選択して、Ctrl+Cコピー、
貼り付けしたいセルを選択して、右クリック、「書式のみ貼り付け」
すると中身の文字はそのままで、色などの書式だけが一括コピーされます。
「書式」のくくりには、色・フォントサイズ・枠線などの、文字情報以外がだいたい含まれるので、1キーだけデザインを変更してから、あとは「書式のみ貼り付け」するのがスマートなやり方です。
他にも特殊貼り付けにはいろいろな種類があるので、そういう貼り付け方法があることを覚えておくと、役に立つこともあると思います。
セルの複数選択・繰り返し
配列をいじるなら、さっきの「書式のみ貼り付け」が重宝するけど、ちょっとしたときに、ちょっとだけ役に立つテクニックも一応紹介しておきます。
飛び飛びで複数セルの選択
↓Ctrlを押しながらクリックすると、こんなふうにバラバラの場所を複数選択できます。
数箇所変更するくらいならこっちのほうが便利なこともあります。
直前の動作を繰り返し
F4やCtrl+Yを使って、「直前の動作を繰り返し」できます。
↓例えば「塗りつぶし」を繰り返す例。
数にもよりますが、Ctrl+クリックで神経質にクリッするよりも、→→F4の繰り返しで適用したほうが速い場合もあります。
いろんなアプローチがありますが、基本操作をいろいろ知っていると応用が効きます。
ショートカットキー
最低限覚えておくと便利なショートカットキーの紹介。
このシートをいじるときだけでも、これだけ役に立つものがあります。
- Ctrl+C コピー
- Ctrl+V 貼り付け
- Ctrl+Z 元に戻す
- F4 やり直す(直前の動作繰り返し)
- Ctrl+Y 同上
- Alt+Shift+1 上枠線
- Alt+Shift+2 右枠線
- Alt+Shift+3 下枠線
- Alt+Shift+4 左枠線
- Alt+Shift+6 枠線の削除
- Alt+Shift+7 外枠線
- Ctrl+Home シートの先頭に移動
- Alt+↓ 次のシートに移動
- Alt+↑ 前のシートに移動
- Ctrl+P 印刷
ほかにもたくさんあるので、すべて見たい人は公式ヘルプもどうぞ。
参考:Google スプレッドシートのキーボード ショートカット – パソコン – ドキュメント エディタ ヘルプ
使用例
配列作者さんや、自分用の自作配列で利用されているようです。
自分が想像してなかった「お!わかりやすい!」という表現方法も結構あるので、見ているだけでも楽しめました。
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→打鍵数分布の活用例。独自キーボードの形状までは再現できないので、完全再現ではないが、おおよその傾向をつかむきっかけにはできそう。
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→色分けなど、いろいろな使い方。
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→動画編集ソフトGIMPのショートカットキー早見表。「単キー」「Shift+」「Ctrl+」「Ctrl+Shift+」をうまく配置している。
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→ Keyboard Input Hackathon 2023での成果発表会にて。レイヤーの表現と、マウス操作の色分け。
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→移動するキーを矢印で表現。
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→Dvorak配列最適化の解説記事にて。指を色分け、左右の境界線を罫線カラーで表現。
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パソ活さん作成のキーボード配列図のテンプレを使ってさっそく「中指シフト月光 2019/06/16版」の配列図を作ってみました。テキストのみの配列図と比べると確かに見やすいですね。あと、かっこいい!https://t.co/0AUAPqLcBmhttps://t.co/e5i3zQfMIK pic.twitter.com/H4ACGXJx0K
— tken@配列オタ (@fsktakahasi) July 20, 2019
パソ活さんのスプレッドシートを使って、#かわせみ配列 で入力できる文字が一覧できる配列表を作ってみました。
左手部分が複雑にみえますが、50音表の行・段に従って、規則的に配置されていますので、実際には簡単におぼえられます。 pic.twitter.com/SGsZwFCf9r— かわせみ配列広報局 (@kawasemihairetu) September 21, 2019
雀配列:親指シフト(NICOLA)の改良版。
「ぱぴぷぺぽ」「ぁぃぅぇぉ」を覚えやすい位置に。
「ゃゅょ」は単打面にし、「やゆよ」はこれらの逆手シフトに。
シフト文字はそのキーの単打字と五十音で同じ段に。
「、」「。」はそれぞれ左親指、右親指シフトキーの単押しで確定と共に出力。 pic.twitter.com/LKKZJ5bZjk— 雀躍配列@改良親指シフト配列 (@suzumekeyboard) January 1, 2020
#配列沼 #タイピング
大岡俊彦氏の薙刀式を元に
シフト系かな入力のビームナギナタ式v0.1を作成してみました。
DvorakJ上で動作します。
「い,う,ん,ー,っ」を同時打鍵により後置入力できます。https://t.co/aYw27jjnSd pic.twitter.com/ITyiLSxhMe— 61び-234469 (@61bi_234469) August 6, 2022
薙刀式の中指シフト化&拡張入力追加した
ビームナギナタ式Ⅱv1.0のDvorakjファイルを公開
かなと同時押しすることで(ん、い、っ、う、-、うん、-ん)を後置き入力できる他、
多数の拡張入力を搭載https://t.co/aYw27jjnSd pic.twitter.com/fPYKhRcDiH— 61び-234469 (@61bi_234469) April 15, 2023
#自作配列
カモノハシ配列v1.4に更新し、
人指し指シフト配列にもどしました。。。https://t.co/ltJNL9OeUw pic.twitter.com/dOx5vy5gve— 61び-234469 (@61bi_234469) May 30, 2023
現状の運指
kiが87だと窮屈なので98へ移行検討(うわっ…私の人差し指みじかすぎ…?)
z, x, cをホームポジションから左に1列移動(c, vミス増える)
親指も活用したい(目標)運指表はパソ活ラボさんのGoogleスプレッドシートが明快かつ編集も簡単なのでお気に入り! https://t.co/1bWldlhzd8 pic.twitter.com/dOFg62H4sw
— 吉良フロスト (@KiraKiraFrost) March 22, 2023
キーボードショートカットの整理も兼ねて今のキー配置一覧表を作った(*'ω'*)
新しい配置に振り替えたら迷子になりそうだから印刷してラミネート加工して机に置くかねぇ・w・ pic.twitter.com/tCWRnC2Kd0
— うぉんてっどっ!@鞠鯖 (@Wanted_mabi) October 18, 2023
引用・クレジット表記について
ブログ・YouTube・発表する資料など、公開して第三者が見るものに関しては、このスプレッドシートを利用したことがわかるようにクレジット表記してください。
配列図を利用したいと思った人がたどり着けるように、URL(http://pasokatu.com/22184)をリンクするか、「パソ活ラボのスプレッドシートを利用させていただきました」などの文言を書いておいてください。
まとめ
実はキーボード配列スプレッドシートを作ったきっかけは、自分が配列を作るためではなく、ほかの人が考案した配列が、テキストとして記載するとイメージできないことでした。
↓こういう書き方の。
QWERTYUIOP
ASDFGHJKL
ZXCVBNM
見ている環境によってプロポーショナルフォント(文字によって幅が変わるフォント)だと位置関係がずれるし、キーボードの段組みは微妙にズレがあるので、普通のJISキーボードで使われる場合はイメージが湧きにくいという問題がありました。
※本来、上段と下段は4分の3キー(0.75U)左右にズレます。
なので、キーの入力が簡単で、スクショしやすく、印刷も考慮しているツールがあれば便利なんじゃないかなと思ったわけです。
ただ、自分は配列の開発はしていないので、果たして需要とマッチングしているのかよくわかりません。なので実験です。
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とあるゲームで大量のショートカットキーを管理する必要があり、
フルキーボードのテンプレートを探していました。
非常に助かります、ありがとうございます!