「ブラインドタッチできるようになりたいんですけど、コツはありますか?」
という質問がタイピング動画にときどき来るので、ブログにまとめました。
このページでは、ブラインドタッチできない、タイピング遅い人が練習をはじめられるように、順番に説明していきます。
目標は、手元を見ずにスラスラとタイピングできるようになること。
↓このような悩みを持っているなら、ぜひ読んでみてください。
- ブラインドタッチできるようになりたい
- 学校のタイピング検定に受かりたい
- 大学のレポートを速く終わらせたい
- 人差し指タイピングをなおしたい
- いきなり仕事でパソコンをつかうことになったので練習したい
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とくに、キーボードのタイピングが遅くて悩んでいる中高生・大学生・新社会人にとって重要な話です。
最近はフリック入力のほうが速いという人も多いですが、こちらの記事でも書いたとおり、仕事ではフリック入力が使えない可能性が高く、最終的にはキーボードのほうが速いので、フリック入力に逃げないように気をつけないといけません。
また、音声入力は速度が速いという強みはありますが、職場では周りに人がいるので使いにくいことと、音声入力ソフトに何を使うのか、OSによる違い、すべてのアプリで同様の使い勝手にできるのか?などの細かい課題があるので、環境に左右されやすくなります。
それに、社会人でタイピングがあまりにも遅いと、「仕事に追われて練習する時間もモチベーションもない」という悪循環になってしまうので、いま危機感がない学生は、とくに読んでおくことをおすすめします。
いざ仕事がいそがしくなると大変になってしまうので、いま、なんとなく「速くなりたいなぁ」と思ったときにやってみましょう。
このページでは、「ホームポジション」「ローマ字のつづり」みたいな基本中の基本から説明しているので、まったくタイピングしたことがない人も始められるはずです。
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また、「なぜ手元を見たらダメなのか」はもっとも重要で、その理由もこまかく説明しています。
ブラインドタッチができないと、速くなるほど困ってしまうので、絶対に最初から手元を見ずに練習しましょう。
その理由が理解できれば、「本当にこの練習方法で大丈夫なの?」という不安も少なくできます。
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↓以下、このページで説明していることを簡単に書いておきます。
- ホームポジションを守ること
- 手元を見ないようにする練習方法
- 五十音タイピング
- ローマ字入力の正しいつづり
- 漢字変換の基本操作
- 数字と記号の練習方法
- 手元を見ると上達しない理由
- ブラインドタッチできるようになったあと、さらに上達する方法
- 学生のタイピングスキルが低い理由(スマホ世代と授業の影響)
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ちなみに筆者はイータイピング腕試しで520前後、漢字変換ありの文章10分1500~2000文字くらいなので、だいたいタイピング検定1級レベルの2倍ほどのスキルがあり、普通の人から見たら超上級者といっても問題ないと思います。
↓こちらはイータイピングのカルテ。
↓漢字変換ありの文章をタイピングしている動画。(日本語ワープロ検定1級の過去問を1934字/10分のペースで入力)
↓本題に入る前に関連記事をひととおり。あとで気になったら読んでみてください。
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それではここからブラインドタッチについて書いていきます。
もくじ
ブラインドタッチ(タッチタイピング)とは
ブラインドタッチ(タッチタイピング)は、手元を見ずにタイピングすることです。
「タッチタイピング」に言い換えが進んでいると言われることがありますが、実際はそうなっていません。
Googleトレンドによると、2004年から始まったデータでは常に「ブラインドタッチ」のほうが多く、全体では約2倍(46:24=66%:34%)の違いがあります。
年ごとの使用割合を集計すると、直近で「タッチタイピング」は30~40%の間を推移していました。
また、「ブラインド」が差別用語だという論もありますが、メディアでの取り扱われ方を見ると、そうはなっていません。(後述します)
そもそも「ブラインド」がつかわれる用語はいくつもあり、
- 窓につかう「ブラインド」
- 道路の「ブラインドコーナー」
- 駐車するときに死角を映す「サイドブラインドモニター」
- 意見を聞くための「ブラインドテスト」
- 計器着陸の「ブラインドランディング」
- 計器飛行の「ブラインドフライング」
- 競技名の「ブラインドテニス」「ブラインドサッカー」「ブラインドゴルフ」「ブラインドボクシング」
これらの用例や英和辞典を見ればわかりますが、「盲目の」という意味のほかにも、「見ないでおこなう~、肉眼によらない~、計器による~」というニュアンスがあります。
とくに視覚障害者用の競技名にもつかわれるほどなので、「ブラインド」が差別用語なのではなく、ブラインドタッチに「盲目の」という意味をつけることが、逆に差別につながっているんじゃないでしょうか。
ここらへんの流れを見ると、「盲目の」という意味をあてがって広めたことにこそ問題があるとも思います。
そもそも明確な差別用語であれば、テレビや製品で使用しないように気をつけると思いますが、今まで見たものだけでも「マツコの知らない世界(2020年7月21日放送)」「となりのマエストロ(2010年2月7日放送)」で普通に発言されています。
ニンテンドースイッチの「タイピングクエスト」プロモーションムービーでは、動画中で”ブラインドタッチが学べる”と発言されています。
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まとめると、差別用語だという根拠には乏しく、メディアで使用しても訂正がされないことから、「ブラインドタッチ」は差別用語としては定義されていません。
どちらにしろ意味は同じなので、手元を見ないタイピングという意味で読んでください。
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※別の表現として、
手元を見ないタイピングを「タッチ・メソッド」、
手元を見るタイピングを「サイト・メソッド」、
ということもあります。
ブラインドタッチの練習方法
じゃぁ具体的にブラインドタッチできるようになるには、どんな練習をすればいいのか。
ただ、「コツ」とか「やり方」みたいに説明されてもできるものじゃなく、
楽器やゲームみたいに、繰り返しで上達していきます。
まったくの初心者で、「ブログ読むの大変だぁ~」って思った人はこれをやってみてください。
ゼロから始める子どもにやってもらうならとてもおすすめできます。
ローマ字の脳内変換やつづりに関して、よく配慮された設計になっているので、大人がよく分かってなくても、ある程度丸投げしやすいソフトです。
↓以下、ブログではこのような順番で、基本中の基本、ホームポジションから少しずつレベルを上げていきます。
- ホームポジションに指を置く
- 標準運指は正しいのか
- アンカーキーを使ってはいけない
- 五十音のタイピング練習
- ローマ字入力の正しいつづり
- 日本語でよくつかう言い回しを練習
- 自分がよくつかうワードを反復練習
- チャンク化
- イメージトレーニング
- 数字と記号のブラインドタッチ
ホームポジションに指を置く
↓指を置く位置は、
左手ASDF、右手JKL;、
いわゆるホームポジションという基本位置。
このホームポジションをしっかりしないとミスが増えやすいので、戻るクセをつけておきましょう。
腱鞘炎や肩こりにならないために
「左手ASDF、右手JKL;に置きましょう」と言っても、その置き方によっては手・肩を痛めてしまいます。
まず、キーボードに対して指をまっすぐにしないように気をつけます。
指をまっすぐにしてしまうと、どうやっても疲れやすくなってしまいます。
↓これがダメな例。指をまっすぐするために手首をひねると、負担がかかり続けます。
じゃぁ手首の負担を減らそうと、肩幅を狭くすると、今度は肩や胸の筋肉がこわばって疲れます。
このような理由のため、指をキーボードに対してまっすぐにすると、どうやっても疲れやすくなるので気をつけてください。
実際は、キーボードに対して指が斜めになるほうが疲れにくくなります。
また、この構え方をすると、前から見たときに、指がキーに対して斜めに向いていますが、気にする必要はありません。
斜めに打ったことが原因で指を痛めたなら、関節に負担がかかるほどの強い力で打鍵することを直さないと、どのみち痛めるリスクは高めです。
また、テーブルの上に置くように、手の甲が斜めのほうが、筋肉のこわばりがなく、短い小指がキーに近くなることによって、遠くに伸ばしやすくなります。(というかそもそも手の甲を平行にすると無理な姿勢になる)
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ようするに、十分に肩を広げたまま、力を入れずにキーボードに手を乗せるということです。
キーボードに手の形を合わせるのではなく、まずは楽な手の置き方をしてみてください。
力んでいる筋肉やねじっている関節があると、練習量が増えるにつれて故障してしまいます。
タイピングの練習をしていて疲れや痛みを感じたら、そのような箇所がないか、自分の体をよく観察してみてください。
(※もちろん手の長さや指の長さに個人差があるので、自分にとって力まない形を意識してください)
指が短いと不利なのか?
タイピングを練習するにあたって、指の短さが気になる人がいますが、指の短さそのものはそこまで不利にはなりません。
筆者はAIST日本人の手の寸法データの中で、概ね平均より小さく、
- 主に使う4本は25パーセンタイル(短いほうから数えて4分の1)
- 親指はとくに短く5パーセントタイル
- (手のひらが平均的なため)手長が25%と50%の間くらい
日本人男性の平均よりは小さい、という評価になると思います。
男中央 | パソ活 | パーセンタイル | |
手長 | 182.9 | 180 | 25%(178.4)、50%(182.9) |
親 | 60.5 | 55 | 5%(55.9)より下 |
人 | 71.1 | 69 | ほぼ25%(68.9) |
中 | 79.2 | 76 | 25%(77.0)よりちょっと下 |
薬 | 74.3 | 71 | 25%(72.1)よりちょっと下 |
小 | 58.9 | 56 | 25%(56.5)よりちょっと下 |
※手長=中指先端から手首のしわ
そしてローマ字入力では(伸ばし棒以外)ホームポジションから隣接するキーを使用するので、必ずしも指が長いほど有利というわけではありません。
ホームポジションから少し離れているTYBーが押しにくいと言われることがありますが、これはキーボードに対して手を斜めに置いているかどうかも結構影響します。
他にもホームポジションを構える上下の位置、手首を動かすか、パームレストを使用しているかなども関わってくるので、指の長さですべては決まりません。
あまり指の長さだけにとらわれないようにしましょう。
少なくとも、「指が短いから練習しても意味ないわ、やーめよ」というのはもったいないので、とりあえず「指が短い=できない」という考え方は捨ててみましょう。
ただ、そうは言っても4歳とか明らかに手が小さい場合は、通常のキーピッチ19mmは大きすぎることもあるでしょう。
そんな場合はキーピッチ17mm程度のモバイルキーボードを選ぶのもひとつの方法です。
たとえば大人顔負けで日本一になった加来燎玄くんは、4歳のときに17mmピッチのポケモンタイピングDSの付属キーボードで練習していました。(下動画の1:58~)
仕事で使うキーボードは標準的な19mmピッチが多いので、最終的には切り替えたほうが無難ではありますが、成長の過程で選ぶのは良いと思います。
標準運指は正しいのか
どのキーをどの指で押さえるのか、教科書どおりの標準運指には注意が必要です。
よく考えたらおかしいことに気づきますが、標準運指は腕の向きとキーの向きが(とくに左手で)同じではなく、指の長さも考えられていません。
ホームポジションからそのまま手を広げるとわかりますが、小指や人差し指は最上段に届かない人も多いんじゃないでしょうか。(個人差が大きいので、実際に手を広げて確認してください)
もともと届かないのに、標準運指だと手首を動かさないと打てないので、ミスにつながります。
そのため、最上段は中指・薬指で打つほうが合理的な場合もあります。
↓それを反映した運指がこちら。
指の長さや筋力には個人差があるので、教科書どおりの標準運指にこだわらないようにしてください。
標準運指は指の構造が考えられていません。
もうちょっと先の話ですが、さらに上達すると「最適化」というテクニックによって、もっと効率的に打つ人もいます。
例えばuは標準運指では人差し指ですが、中指のほうがメリットが大きくなります。
↓筆者の運指はこれ。中央付近のキーは、単語によって左右を使いわけ、キーによっては3つの指が担当することもあります。
「タイピングの最適化について書いた記事」にもいろいろあるので興味があればどうぞ。
ただ、最適化を練習したほうがいい、ということではなく、
そもそも標準運指が合理的ではないので、「絶対に標準運指にしないといけない!」と気にしなくてもいい、ということがわかってもらえたらOKです。
自己流の運指をなおしたほうがいいか迷っているなら、上記最適化の記事を読んでみて、そのままでも大丈夫かどうか考えてみましょう。
それよりも、とにかく手元を見ずに打てることを優先してください。
手元を見ないことは絶対に重要なので、繰り返し繰り返し、くどいほどに繰り返します。
アンカーキーは使ったらダメ
タッチタイピングの基礎として、たまにアンカーキーというものを聞くことがあります。
これは、アンカー(船のイカリ)の意味で、たとえば上段のキーを打つとき、ほかの指をホームポジションに残したままにするというものです。
考えればすぐにわかることですが、ホームポジションに指を残しておくことに意味はないどころか、ムダな運指を覚えてしまうので、
アンカーキーは使ったらいけません。
たとえば上の写真では、人差し指でYを打ったら、次はAIUEOのどれかを打つので、KL;に指を残す意味がありません。
Yを打ったら、次Uならほとんど同時に打鍵することになるので、中指はすでにその位置に振りかぶっています。(※Uは標準運指で人差し指ですが、中指のほうが運指が良くなりやすいです)
このように、前後のキーによって指の位置関係は毎回ちがうので、アンカーキーはやるだけムダです。
アンカーキーがなぜムダなのか、次の「五十音タイピング」でも説明しますが、日本語のタイピングだとアルファベット単位ではなく、カナ文字が最小単位になるので、アルファベットがどこにあるのか探すことは、意味がないどころかマイナスになります。
「アルファベットから探す」という行為は、ローマ字の脳内変換の原因になるので、やってはいけません。
↓アンカーキーを使わないほうがいい例として、もういちどこの動画を見てください。文章の入力中はアンカーキーを使わず、1ワード打ち終わるとホームポジションに戻ります。
↓じゃぁ日本語のタイピングを練習するときに、なにを意識して練習するのか、次で説明していきます。
五十音のタイピング練習
最初の練習におすすめなのは「五十音タイピング」です。
FJFJのようにアルファベットごとに練習しても意味がありません。
最初にアルファベットを練習してしまうと、あとあと「アルファベット→かな」の脳内変換が発生します。
日本語の文章は、かな文字の連接で構成されているので、アルファベットを1文字ずつ覚えても意味はありません。
[k]ケー[a]エー ⇒ 「か」
という変換を頭の中でするのではなく、
「kaを右手中指と左手小指でほぼ同時に打つ」という、
指の動きが「か」という出力と直結するのを最初から意識してください。
※これは楽器で音を出すのに似ています。
・トランペットのピストンの組み合わせと吹く強さの組み合わせ
・リコーダーのふさぐ穴の組み合わせ
・ギターの弾く弦と押さえる場所の組み合わせ
ゲームで必殺技を出す組み合わせにも似ています。
・↓➘→+P = 波動拳
楽器もゲームも、いくつかの動作を組み合わせてひとつの出力を生み出すプロセスです。
「①②ピストン押さえたらミが鳴る」とか、ひとつひとつ考えているとすぐにスピードが限界になるので、頭の中で変換作業をせず、ひとつの動作とひとつの出力を直結させることが重要です。
これはタイピングでも同じで、ローマ字の脳内変換をしたらすぐに上達できなくなるので、最初から脳内変換をしない、「指の動き」=「文字」を意識して練習してください。
もう一度言います。
アルファベット1文字のタイピング練習をしても、日本語の練習には意味がありません。
「日本語の文字や文章」と「指の動き」を対応させて上達していくので、練習は必ず、かな文字・単語・文章単位でやっていきます。
脳内変換してはいけないことについて図解していきます。
「か」をキーボード入力するとき、
- ×・・・kケー、aエー =「か」というふうに「アルファベット→かな」と脳内変換してはいけない
- ◎・・・ka(右手中指と左手小指でほぼ同時に打つ指の動き=「か」)
というふうに、[ka]をひとつの”かたまり”として「か」と意識して、ほとんど同時押しできるようにしてください。
このとき、ひとつのかたまりとして意識できるということは、打鍵は
「kタン・aタン」じゃなくて「kaタン」と、2キーを1アクションで打ちます。
k・aと、2アクションで打つと、遅くて、日本語として直感的でもなく、手を上げ下げする回数が増えて疲れやすくなります。
ーーー
なのでkaを一つのかたまりとして1アクションで打ってください。
「タン」と1アクションで打つということは、ほとんど同時押しになります。
このときの指の動かし方が「か」になるので、頭の中でアルファベットを考えてはいけません。
「かきくけこ」を入力するなら、
kakikukekoではなく、
kakikukekoというふうに、ひとつのかたまりが1アクションになることを意識しましょう。
同様に、「きゃ」とかも、[k]ケー[y]ワイ[a]エーではなく、kyaをひとつのかたまりとして「きゃ」と、1アクションで打ちましょう。
頭の中で「アルファベット→カナ」の変換をしていると、一定以上スピードアップすることができません。
ーーー
そもそも、ローマ字入力は日本語を入力するための方式のひとつでしかないので、極論、アルファベットを覚える必要がありません。
言い換えると、日本語を入力するならkはアルファベットの K ではなく、「か行を入力するためのキー」です。
五十音は「行」と「段」の組み合わせなので、キーボード上に色分けすると以下のようになります。
↓このように行・段の役割があるだけなので、日本語を入力するためにアルファベットを覚える必要は無いことがわかります。
ローマ字入力は、
「行段キーの組み合わせで日本語を入力する方式」です。
「アルファベットからカナに変換する入力方式」ではありません。
そのため、1カナを2キーに分解して再組み立てする覚え方ではなく、あくまで1カナもしくは1音(「きゃ」「じゃ」など)をひとつのかたまりとして打ちます。
最初が大事なので、練習しはじめから意識してください。
ーーー
※このとき、ほとんど同時押しで重なるように打つことを「ロールオーバー打ち」といいます。
これができるかどうかで大きな差になるので、アルファベット1キーごとに指を上げ下げせず、かたまりならロールオーバー打ちできるように意識しましょう。
ただし、ki「中指 → 中指」のように、同じ指が連続する場合はロールオーバー打ちできないので、ki「きーい」のように、ひとつの塊の意識だけはしっかりと持ったまま打ってください。
上達すると最適化というテクニックで「人差し指 → 中指」みたいに違う指を使えますが、まだ先の話です。
ーーー
※これがさらに上達すると「チャンク化」というテクニックによって、より大きなまとまりも一気に入力できるようになっていきます。(チャンク化についても後半で少し説明します)
マイタイピングというサイトに五十音タイピングを作ってみたので、反復練習用に使ってみてください。
繰り返しますが、手元は絶対に見ずに。
手元を見ない理由はあとで詳しく書きますが、脳の仕組みからして、手元を見ると効果がなくなってしまいます。
必ず手元を見ずにタイピングしてください。
それでも手元を見てしまうなら、タッチタイピング養成ギプスを自作したりして、手元を見れないようにしてください。そのくらい手元を見ないことは重要です。
引用:タッチタイピング養成ギブスのつくりかた – 情報科blog
↑※ダンボールで簡単に作れるので、学校の先生にもおすすめ。
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ブラインドタッチの練習としてタオルをかぶせる方法がありますが、実際にやった学校を見る限り、タオルはおすすめしません。
自分でもやってみましたが、タオルがずれて指の下に入り込み、タオルごと打鍵してしまいます。
また、タオルがこすれる感触は、指先の感覚の邪魔になります。
手元を見れなくする方法としてはダンボール以外にも「タオル」「目隠し」「キーキャップにシールを貼る」などがありますが、タイピング練習に目隠しを使ってみた – baruku07のブログという記事でいろいろ試行錯誤されています。
調べたりやってみた限りでは、手の触覚を邪魔せず、画面は見ることができて、手とキーボードは見れない、という条件を満たすタッチタイピング養成ギプスのようなダンボールなどによるカバーが最適な道具だと思います。
キーの場所を見るためのキーボード図は、画面の左右どちらかに置いてください。
理由としては以下のとおり。
- ワープロ検定や仕事だと、資料を左右どちらかに置くことが多い
- 資料を下に置くと、目線の移動が「上⇔下」になってしまい、手元を見るのと同じ動作になってしまう
あとあと検定や仕事で使うことを考えると、目線の移動は「上下」ではなく「左右」に慣れておくほうが良いでしょう。
データホルダーで検索すると、スタンドタイプ、アームタイプ、クリップ式など、いろいろな製品があります。
画面よりも低い位置になってしまう場合は、棚の上に置いたりして、高さ調節したほうが目に優しくなります。
↓ワープロ部の動画が参考になります。入力画面のすぐ左に文書をくっつけています。
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↓ローマ字入力用のキーボード図です。パソコンでクリックすると大きな画像(PDFファイル)が開くので印刷して使ってください。
※ただ、アルファベット表記だとどうしても発音が引っ張られてしまうので、頭の中で「ケー、エー」のように発音せずに、カナ文字発音を意識してください。キーボード図は早めに卒業しましょう。
最初は「あ」から「ん」が手元を見ずに入力できるようになるまで反復練習して、濁音(゛)・拗音(小さい文字)など、ほかの文字も少しずつ練習していきましょう。
↓メモ帳で反復練習する順番の例
- あいうえお かきくけこ さしすせそ たちつてと
- なにぬねの はひふへほ まみむめも やゆよ らりるれろ わをん
- がぎぐげご ざじずぜぞ だぢづでど ばびぶべぼ ぱぴぷぺぽ ぁぃぅぇぉ ゃゅょ
- きゃ きゅ きょ しゃ しゅ しょ ちゃ ちゅ ちょ にゃ にゅ にょ ひゃ ひゅ ひょ みゃ みゅ みょ りゃ りゅ りょ ふぁ ふぃ ふぇ ふぉ うぃ うぇ うぉ
- ぎゃ ぎゅ ぎょ じゃ じゅ じぇ じょ びゃ びゅ びょ ぴゃ ぴゅ ぴょ でぃ でゅ
- ゔぁ ゔぃ ゔ ゔぇ ゔぉ ぢゃ ぢゅ ぢょ つぁ つぃ つぇ つぉ(この行はほとんど使うことがないので何となく覚えるだけでいいです)
ローマ字入力のつづり
大学生におけるローマ字入力速度と綴り選択に関する研究によると、大学生でも「てぃ」のつづりthiを2割しか知らないなど、つづりを知らないために無駄な打鍵をしている人がたくさんいます。
なので、まずは効率的なローマ字つづりを覚えておきましょう。
とくに小さい「っぁぃぅぇぉゃゅょ」を入力するときに、なんでもかんでもXで入力することが多いですが、打鍵数が増えるし運指も悪くなるので、Xは極力使わないように気をつけてください。
その他、正しく入力できないものなど、以下のつづりについて説明していきます。
- づ du
- 「ロケット」などのちいさい「っ」
- きゃきゅきょkya
- ふぁfa・じゃja
- てぃthi・でぃdhi
これらはすべて専用のルールや特別なつづりが用意されているので、覚えましょう。
ここを覚えないと、これから先、ずーっとムダなやり方で練習することになってしまいます。
覚えるのは最初だけなので、本格的な練習をする前に、ひととおり知っておきましょう。
打鍵数の少ないつづりにする
まず基本中の基本として、打鍵数の多いつづりで打たないようにします。
◯)つ → tu
×) つ→ tsu
◯)し → si
×)し → shi
◯)ち → ti
×)ち → chi
ヘボン式と訓令式どちらが良いのかという議論もありますが、あくまで「日本語の文章を入力する方法」なので、住所や名前を表記するルールとは別物として慣れましょう。
ローマ字入力の表記にはさまざまなものがありますが、あくまで「ローマ字入力によるキーボード入力」においては、こだわっても意味がありません。
ぢ・づ
専用の、というよりは、単純に間違えやすいつづりに気をつけてください。
「つ」に濁点がつく「づ」のように、だ行の中であまり使われないもの。
◯)ぢ → di
◯)づ → du
先ほどの論文によると、duのつづりがわからず、zuで入力してしまうことがあるようです。
※「ぢ」「づ」は使う機会が少なく、間違えたとしても意味が通じて、読む側も指摘しないことがあるため、あまり問題が表面化しないミスだと思います。
ちいさい「っ」
小さい「っ」(促音)は、次の子音を連打します。
例)ロケット → roketto
xtuのように別々に打つと打数が増えて遅くなるので気をつけてください。
×)ロケット → rokextuto
普通に考えたら rokextuto よりも roketto のほうが良いですけど、なぜか意外と xtu を使っているのを見聞きすることがあります。
実際、学校で xtu を教えていることもあるらしく、さすがに先生の知識不足じゃないかと思うので、強制された生徒はかわいそうだと思いますけど、実際の教育現場ではどういう状況なんでしょうか。
こちらの記事を書く際、「学校では xtu で教えられた」という話題で盛り上がっている動画(2:51:45)を見ると、配信のコメントが興味深かったです。
子音の連打で「っ」を知らなかったケースもあります。ただし十分に速い場合は、実用では困りません。
人によって「っ」をどう入力するのか全然違うし、逆に xtu を知らなかったという人もいるので、学校でやっていたやり方に慣れてしまうように思います。
このあと紹介する「てぃ」thi が正しいつづりで打てている人が非常に少なく、texi で打つ人数が最も多いことも考えると、特殊なつづりを教えず、すべて x で小さい文字を入力するやり方が一定数いるのでは?と予想してます。
繰り返しになりますが、「っ」は xtu、ltu で入力するメリットがほとんどないので、慣れてなくても子音の連続にすぐ矯正しましょう。
「きゃきゅきょ」など
これは授業でもちゃんと教えるだろうから間違わないと思いますが、別々に打たないように気をつけてください。
◯)きゃ → kya
×)きゃ → kixya
ふぁ・じゃ
「ふぁふぃふぇふぉ」「じゃじゅじぇじょ」は2打で入力できるので、jixyaのように打たないように気をつけてください。ものすごく打鍵数が増えてしまいます。
また、zyaやjyaも打鍵数が増えて運指も悪くなるのでやめましょう。
◯)ふぁ → fa
×)ふぁ → fuxa
◯)じゃ → ja
×)じゃ → jixya
×)じゃ → zya
×)じゃ → jya
でぃ・てぃ
さっきリンクを貼った論文によると「てぃ」はローマ字入力のつづりを知らない人がとくに多い(2割くらいしか知らない)ので、必ず覚えておきましょう。
◯)でぃ → dhi
×)でぃ → dexi
◯)てぃ → thi
×)てぃ → texi
さきほどの論文によると、thidhiは、小学校の国語では習わない特殊なつづりとのこと。(だからこそ2割しか知らない)
つまり、授業で先生が教えないと、タイピング特有のつづりのため、知りようがないということになります。
Xを使わない
ここまでの話をまとめると、「でぃ」dhiのように入力できるのに、わざわざ「でぃ」dexiなんて打ち方をすると、打鍵数が増え、運指が悪くなり、直感的でもなくなってしまうので、必ず矯正するように頑張ってください。
Xは使わないように。
単独の小さい文字を入力する時は?
xを使わないように、といっても、「あっ!」のような、文末に小さい文字がある場合は、単独で打つ必要があります。
このとき、小さい「っ」はxtultuどちらでも打てますが、
Xではなく、基本的にLを使ってください。
↓このキーボード図を見てもわかるとおり、ほとんどの場合でLのほうが運指が良くなります。
学校の授業では「小さい文字を打つのはx」と教えられることもあるかもしれませんが、実際はLのほうが運指が良くなります。
Twitterで大規模(91,658票)になったアンケートがあったので、参考に掲載しておきます。
小さい「ぁ」を打つときどっち派?
xaで家族の少数派となったので第三者に問うて逆転を狙う。xa初耳まで言われた。儂とてlaは初耳じゃ。— 有川ひろと覚しき人 (@arikawahiro0609) October 10, 2020
- xa 51.6%
- la 48.4%
フォロワーが5.8万人と非常に多いアカウントによるアンケートで、投票数も多く、かなり信頼性の高い結果じゃないかと思います。
で、xaに長年慣れている人はそのままでもいいですが、これからタイピングを練習する人は、運指が良い「la」にしておきましょう。
ーーー
つづりだけで長く説明してしまいましたが、ここを適当にすると、どんなに速くなってもずーっとデメリットを引きずることになるので、五十音をスルーした人はもう一度見てみましょう。
これらをしっかり覚えて五十音タイピングを反復練習すれば、最低限の基礎ができるので、手元を見ずに頑張って練習してみてください。
⇒ 五十音タイピング
日本語でよく使う言い回しを練習
五十音のカナを打てるようになっても、日本語の文章としてスラスラ打てるようになるためには、文字の”かたまり”に慣れないといけません。
考えればわかることですが、「かきくけこ」という文字列は、日本語の文章には出てきません。
タイピングゲームで「い」……「ま」……「す」のように1文字単位の入力が速くなっても、実際の文章入力の上達にはなりません。
↓実際の文章では、こういう文字の流れ(連接)を入力していくことになります。
- います
- あった
- おくと
- していて
- すること
- こういう
- そういう
(※タイピングゲームで反射神経が速くなっても文章入力がうまくできないのは当たり前で、連接のパターンに慣れていないからです。)
そこで、よく使う言い回しを集めた問題を作成しました。
五十音ができるようになったら、次の練習として使ってみてください。
※ただし、よく使う言い回しからピックアップしているため、使っていないカナ文字があります。あくまで重点的・効率的な練習として利用してください。
ーーー
※この練習をするときは、1文字ずつポツポツと入力せず、かたまりを一気に入力できるように意識してください。
「います」だったら、imasuをひとつのかたまりとして素早く入力できるように。
i、m、a、s、u のようにポチポチと入力する指の動きと、
imasuをザッと一気に入力するときの指の動きは全然違います。
ーーー
「五十音タイピング」と「よく使う言い回し」は、それぞれ目的が違います。
- 五十音は覚えるための練習
- よく使う言い回しは慣れるための練習
最終的には文章をなめらかに入力するのがゴールなので、いろいろな文章の流れに慣れる練習が重要です。
慣れる練習をしていくと、無意識で打てるパターンが増えていき、文章を考える余裕が出てきます。
自分がよく使うワードを反復練習
基本的な言い回しがスムーズにブラインドタッチできるようになったら、次は自分がよく使う文章を反復練習してみましょう。
- おはようございます。
- こんにちは、
- こんばんは、
- ありがとうございます。
- 了解です。
- よろしくお願いいたします。
- しようと思います。
- させていただきました。
- かもしれません。
- かまいません。
などなど、挨拶文や日常的に使っているワードを、メール・SNS・授業のレポートなどからピックアップします。
あとはそれをメモ帳に、ひとつずつ、指が覚えるまで反復入力してみましょう。
そうしたら、最大限の練習効果を得られます。
単語の練習に慣れてきたら、短文・長文と、ピックアップする文章を長くしてみましょう。
このように、普段の入力を速くすることが目的なら、タイピングゲームよりも、よく使う文章を重点的に練習するほうが効果的です。
タイピングゲームでは、句読点、。がなかなか練習できません。
実際の文章入力では、「aやuのあとに。を打つことが多い」など、日本語特有の癖があるので、タイピングゲームばかりプレイしても身につかないスキルもあります。
ゲームで1番になりたいとか、目的が別ならかまいませんが、ほとんどの人にとって、タイピングを使うのは漢字変換ありの文章入力です。
練習方法が、目的に合っているかどうか、少し考えながら練習しましょう。
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授業や部活として取り組むタイピング検定(資格)に受かることが目標なら、過去問でよく使われる言い回しを反復練習してみましょう。
練習サイトをまとめた記事の「タイピング資格・大会の過去問」というもくじに、いろいろな検定のリンクがあるので、自分の受ける検定の過去問を見てください。
おおまかにピックアップするだけでも、かなり集まります。
- だったのではないでしょうか。
- なってくるのでしょうか。
- というものがありました。
- していることがあります。
- なっていったようです。
- といえるでしょう。
- よくあります。
- あるようです。
- あるのですから、
- なりました。
- ありませんでした。
こういう言い回しだけでもスラスラと入力できるようになると、効率的な練習ができます。
文末は「でしょうか」「でしょう」「ありました」「あります」「ありません」「なります」「ようです」「みましょう」「ください」「しましょう」「でした」「です」「います」など。
文頭は「たとえば」「そして」「これは」「おそらく」「だから」「やはり」「その後」「どんなに」「どのような」「どれだけ」「すると」「これが」「これらが」「これまで」「ここまで」「それが」「それらが」「そこから」「このように」「あれが」「ちょうど」「さまざまな」など。
文中は「ですが」「あるので」「ですので」「すれば」「なくても」「ほうが」「していると」「くると」「にして」「するのが」「すれば」「できる」など。
このようにお決まりのパターンがあるので、それらが含まれる文章を練習すれば、本番で打つ可能性も高くなるでしょう。
ふだんから「日本語でよく見かけるな~」と思った部分をメモしてみましょう。
もちろん手元は見ずに練習してください。
ここまでの内容を手元を見ずにスラスラ入力できるようになれば、もう日常生活では困らないタイピングスキルです。
練習方法としてタイピングゲームもおすすめされることがありますが、「自分が使わないワードが多い」「ワンパターン」というデメリットもあるので、やり過ぎは禁物です。
タイピングゲームよりも、自分がよく使う文章のほうが実生活で役に立つので、あくまで自分がどうなりたいのかを基準に練習方法を決めてください。
- 実用的なタイピング → 普段入力している文章を練習
- タイピングゲームのスコアを伸ばす → ゲームをやり込む
- タイピング検定を受ける → 過去問をやる。IME初期状態の漢字変換を研究する
- 競技タイピングを目指す → ピアノやギターに取り組む。音ゲーをやり込む。反射神経を鍛える。最適化を研究する。運動をして基礎体力をつける。大会で使われるソフトのワードを研究する。
というように、タイピングを何に使うかによって、効果的な練習方法は全然違います。
漢字変換の基本操作
ここまでの練習は、どちらかというとキーの打鍵に絞って具体例をあげましたが、実際の文章入力では、漢字変換の操作が必要になります。
実は大学生への調査「日本語入力時の[変換]操作と[Enter]キーの操作 」(大阪成蹊短期大学1回生73名)では、過半数の学生は変換の基本操作を知らず、無駄な打鍵をしています。
知っているか知らないかで、大幅に効率が変わるので、最低限覚えておいてください。
以下、上記報告書の中にある内容を参照しながら説明していきます。
いちいち確定Enterをしない
漢字変換をした後、毎回[Enter]キーを押していますか
→ 84.9% 押している
たとえば、「私は学校へ行きます。」という文章で、
「私はスペース学校へスペース行きます。スペースEnter」
と比べて、
「私はスペースEnter学校へスペースEnter行きます。Enter」
というふうに、変換したあとにいちいちEnterで確定する癖がついている人は多いんじゃないでしょうか。
もっとひどくなると、こんな入力をしている例もあります。
「私スペースEnterはEnter学校スペースEnterへEnter行きますスペースEnter。Enter」
文章の途中にスペースで変換したあと、Enterで確定するのは時間の無駄です。
次のキーを打てば、変換中の候補は自動的に確定するのに、Enterで確定する必要はありません。
Enterが必要になるのは、改行するときだけです。句読点、。の区切りでさえ、その後に文章が続くのであればEnterは必要ありません。
遠くて重たいEnterを打鍵することにより、入力スピードは落ちて、何より疲労が大きくなります。
そのため、まずは文章途中で「変換のあとのEnterは無駄」ということを知り、すでに癖が付いている人は、意識してEnterを使わないようにしましょう。
Enterを打鍵するかどうかで、実用入力の効率がものすごく変わります。
※例外として、ひらがなのまま確定したいときはスペースで変換せずにEnterで確定することもあります。
※例文の「私は学校へ行きます」は一括変換もできますが、文章の内容や長さによって汎用性が高い文節変換を例にしました。もちろん簡単な文章は連文節変換でも問題ありません。
変換中の[文節移動]
[→][←]キーを用いた文節移動の方法を知っていますか
→ 知っている 43.8%(逆算から、知らない 56.2%)
たとえば「かれはおもしろい」を一括変換して
「彼は面白い」を「彼はおもしろい」にしたかったら、→キーで変換する文節を移動して、スペースで変換操作をします。
この文節移動ができないと、一括変換がまともに使えないのかもしれません。
※文節移動を知らない生徒がどう対処するのかはわかりません。「すべて消して入力し直す」「細かく漢字変換していく」などが考えられます。
変換中の[文節区切り修正]
[Shift]+[→][←]キーを用いた文節の区切り修正方法を知っていますか
→ 知っている 22.6%(逆算から、知らない 77.4%)
たとえば「あしたはいしゃへいきます」を一括変換したら、
「明日歯医者に行きます」(あした / はいしゃに)
「明日は医者に行きます」(あしたは / いしゃに)
どちらかになるとして、変換する区切りを変更することができます。
↓説明が難しいので図解でどうぞ。
この文節区切り修正も、長文の一括変換をするなら必要になってきます。
ファンクションキーによる変換操作
ファンクションキーによる変換方法を知っていますか([F6][F7][F8][F9][F10]の働きについて答えてください)
キー | 知っている |
F6 ひらがな | 5.5% |
F7 カタカナ | 21.9% |
F8 半角カタカナ | 11.0% |
F9 全角英数 | 6.8% |
F10 半角英数 | 4.1% |
普段使っている割合ではなく、そもそも知っている人の割合が非常に少ないです。
ただ、ファンクションキーはホームポジションから遠いので必ずしも重要なテクニックではありません。
キーボードによっては使えないので、一応知っておく、という程度で良いと思います。
ーーー
さて、漢字変換の基本操作で特に重要なものをもう一度。
- 変換したあとEnterでいちいち確定しない
- カーソルキーによる文節移動を知っておく
- Shift+カーソルキーによる文節区切り修正を知っておく
この中では、いちいちEnterキーで確定しないのが特に重要です。次のキーを打鍵すれば自動的に確定します。
Enterでいちいち確定しなければ、細かい文節変換でもロスがほとんど無くなるので、長文変換よりも実用では使いやすくなります。
長文変換は、どうしてもカーソルキーによる分節移動と区切り修正が必要になるので、ホームポジションが崩れて遅くなります。
繰り返しになりますが、すべてをまとめると、いちいちEnter確定せずに文節変換が、実用入力ではバランスが良いと思います。
チャンク化
チャンク(chunk)という英単語はもともと、「大きいかたまり」という意味があり、「タイピングのチャンク化」は、一気に入力するかたまりのことを言ったりします。
※ただし「チャンク化」はタイピング界でなんとなく使われているもので、正式な用語ではありません。
ーーー
たとえば「おはようございます。」は、チャンク化せずに1文字ずつだと以下のようになります。
[o] [ha] [yo] [u] [go] [za] [i] [ma] [su]
[お][は][よ][う][ご][ざ][い][ま][す]
これが、キーとキーのつながりに慣れてくると、だんだん大きなかたまりにして、一気に入力できる範囲を広げていくことができるようになります。
ohayougozaimasu
おはようございます
↓
ohayougozaimasu
おはようございます
↓
ohayougozaimasu
おはようございます
↓
ohayougozaimasu
おはようございます
[gozai]はかたまりにするのが難しいですが、[ohayou]は慣れると簡単で、発音の「おはよう」とも一致させやすいので無理してる感じがありません。
最終的には「おはようございます」がひとつの流れとして無意識に打てるようにします。
五十音タイピングの章で説明した、「指の動きとカナ文字が直結」できずに、「ローマ字→かな脳内変換」をしていると、チャンク化しにくくなります。
[y]ワイ[o]オー → 「よ」
というふうに脳内変換していると、かたまりを大きくして一気に入力できません。
youを「よう」と直結、
ohayouを「おはよう」と直結、
というふうに、チャンク化を大きくするのは脳内変換をしていると無理なので、意識を変えましょう。
イメージトレーニング
お風呂・通勤中・寝る前など、ぼーっとできるときに、頭の中でタイピングしてみましょう。
「シャドータイピング」「エアータイピング」ともいいます。
キーボードのホームポジションをイメージして、指がキーを触っている感覚まで思い浮かべてください。
キーの位置をイメージするだけじゃなく、どの指をどのくらい動かすのかまでイメージしましょう。
数字と記号のブラインドタッチ
数字と記号もブラインドタッチできたら理想ですが、まずはここまで説明した、日本語をブラインドタッチできるようになってからです。
使うことが少ないなら、数字や記号は見ながら打ってもかまなわないでしょう。
数字のブラインドタッチ
日本語の文章の中でも、いくつかの数字はよく使うので、最上段の数字をブラインドタッチで入力できるようになると便利です。
↓無理やりだけど例文。
「12月31日、今日はリサイクルショップで机が安く買えた。価格は5,000円、サイズは横幅75cmだった。」
日付や価格では1230を使うことが多いので、これだけでもスラスラ打てると役に立ちます。
567あたりはブラインドタッチするのがもともと難しい位置にあるので、最初のうちは完璧にできなくても良いでしょう。
記号のブラインドタッチ
記号は、人によって使う・使わないが全然違うので、自分がよく使う記号があるなら練習する、くらいのつもりでいいでしょう。
Shiftキーとの組み合わせも多いので、難易度も高くなります。
↓文章の中で使われそうな記号はこのあたりでしょうか。
とくに!?「」()は日本語の文章でも使うことが多いでしょう。
英数字記号の練習に使えるサイト
英数字記号の練習が充実している練習ソフトは少ないので、いざ使うときにスラスラ打てない人も多いと思います。
それに、タイピングゲームだと英数字記号がほとんど出てこないものも多く、出題パターンが少なすぎて練習量が少なくなりがちです。
そこで、ゲームではなく、英数字記号がたくさんあるWebサイトをコピータイピングするのがおすすめです。
ーーー
例えば「通販新聞」というサイトの「決済情報」のタグがついた記事一覧では、「2020年7月期第3四半期、前年同期比9.4%増」のように、「億、万、円、件、年、月、日、時、%、社、代、部、冊、個、桁、増、減、人、店舗、約、同、比、~」など、実際に数字の前後につきやすい単位と合わせて練習することができます。
↓数字が多く含まれる文章を一部引用。
(株)ファンケルが30日発表した2020年3月期第2四半期(19年4~9月)連結決算は、売上高が前年同期比9.8%増の662億300万円、営業利益は同25.6%増の88億9600万円、純利益は同21.1%増の58億7200万円となった。
こういう文章はニュースサイトでもありますが、カテゴリが特化しているサイトのほうが例文を見つけやすいのでおすすめです。
また、数字とセットになる「円」などの単位は、人によってよく使うものが違うだろうから、自分の仕事と関係が深そうなWebサイトを探してみるのもいいと思います。
ーーー
あと、文章に統一性はありませんが、「Amazon」もさまざまなパターンで英数字記号が練習できます。
たとえば上記のページから抽出すると以下のとおり。
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もちろん、Amazon以外の通販サイトでもかまいません。
ーーー
繰り返しになりますが、英数字記号の練習は、まずは日本語のカナ文字を完璧にブラインドタッチでスラスラ打てるようになってからにしましょう。
ブラインドタッチを練習する理由
- ブラインドタッチ(手元を見ないタイピング)
- スピード
- 正確性
この3つの中だと、スピード・正確性が大事だと思われがちです。
でも、実際は3つの中でブラインドタッチ(手元を見ずにタイピングできること)がダントツで重要です。
いま、授業で友達と比べればそこそこタイピングが速くても、手元を見てタイピングしていたら、全部ムダ、と言っても過言じゃないので、ここから先をよく読んでください。
とくに、学校の授業でとりあえず手元を見ながらタイピングすると、あとですごく大変になります。
「手元を見る」=「間違ったやり方」ということを知っておいてください。
ブラインドタッチできないと、いつまでたっても指先と脳がつながりません。
ブラインドタッチできる人の割合
そもそもブラインドタッチできる人ってどのくらいいるんでしょうか。
「ブラインドタッチなんか当たり前でしょ?」って思うかもしれませんけど、実際はできる人がとても少ないことがわかります。
たとえば自分が集めたYouTubeでのアンケートでは、ブラインドタッチできる人は15%しかいません。(回答者数2,849人)
ーーー
※その後、「文章」と「数字記号」も分けたアンケートを実施したので、こちらのほうがより実態を表せていると思います。
- 端末
- スマホ 58.3%
- タブレット 19.5%
- パソコン14.1%
- ゲーム機6.2%
- テレビ1.7%
- 年齢
- 13~17歳 17.0%
- 18~24歳 40.1%
- 25~34歳 16.1%
- 35~44歳 14.4%
- 45~54歳 11.4%
- 55~64歳 0.3%
- 65歳以上 0.8%
上記は回答者ではありませんが、アンケートを設置していた動画を見ている視聴者の属性です。
スマホからの回答と、若い年齢の人が多いと思われるので、マイナビとかで社会人のみに聞いたアンケートよりは、裾野が広い結果になると思います。
↓アンケート結果を書き起こすと以下のとおり。
数字記号まで完璧な人がほとんどいないのはしかたないですが、文章を完璧にブラインドタッチできる人が18.5%しかいません。
割合 | 人数 (n=1337) |
|
文章◎ 数字記号◯ | 4.9% | 65 |
文章◎ 数字記号× | 13.6% | 182 |
文章△ 数字記号× | 25.0% | 334 |
文章× 数字記号× | 51.4% | 687 |
キーボード使わない | 5.2% | 69 |
他にもいろいろなアンケート調査を検索してみましたが、一般的にはブラインドタッチできない人のほうが多いようです。
※ただ、結局こういうアンケートは、回答する母集団の影響を強く受けてしまいます。「ブラインドタッチできる割合」として提示する場合、回答者の属性も合わせて見せないと、恣意的な見せ方になってしまうでしょう。
他にも、マイナビのアンケート、2017年2月調査、社会人211人、ブラインドタッチできる人が37.0%。(はい・いいえ 2択)
大学生の情報リテラシーに関する調査結果に関する記事。2011年調査、東京農工大学1回生876名、約半数はタッチタイピングができない。
大学生のスマートフォンとPCでの文字入力方法。2016年調査、立命館大学1回生~大学院(回答はほとんど1~2回生)6学部568名、「ほとんどキーボードを見ずにタッチタイピングできる」14.4%。
初年次教育における情報処理科目の授業開発に向けた一考察の調査、2013年調査、東洋学園大学1回生257名、具体的な数値は書かれていないが”タッチタイピング(キーボードを見ないで速く打てる)が修得できている学生は少ない。“と記載あり。さらに、「ウォ」「ディ」「ファ」などのローマ字入力が正しくできない学生がいまだに多いとのこと。
打鍵ミス低減に重点を置いたタッチタイピング教育の評価、2014年調査、甲子園短期大学1回生34人、タッチタイピングスキル「ある程度あり」17.6%。
大学入学時のスマホ・情報スキル・タイピングに関する調査について、2012~2016年調査、甲子園大学、「手元を見ないで両手で打てる」どの年度も10%以下。「たまには見てしまうが両手で打てる」を合わせても30%以下。
自宅でパソコンを毎日利用しますか? パソコン利用に関する調査結果(2018) | スマートアンサー、22,002人。「できる」学生はだいたい20%以下、社会人はだいたい30%以下。※「だいたいできる」を含めるとプラス30%ほど増えるが、他の調査の「たまに手元を見る」と傾向が似ている。
プチアンケート – インターネットでタイピング練習 イータイピング | e-typing ローマ字タイピング、1398人。完璧15%、ほぼできる35%、少しできる32%。できない16%。
これらの調査から考えると、ブラインドタッチが完璧にできる人は非常に少ないことがわかります。
また、傾向として、大学1年生だと20%以下の結果が多い感じがします。
そんな状況なのに、
『どうやったらタイピングが速くなる?』
という質問に、
「練習あるのみ!」
とアドバイスしても、手元を見てタイピングしてしまう可能性が高くなるので、がむしゃらに練習しないように気をつけてください。
「練習あるのみ」で上達できるのは「練習しながらコツを発見できる、センスのある人」であって、初心者にとっては「練習あるのみ」は最適な方法ではありません。
なんでブラインドタッチじゃないとダメなのか
なんでこんなにもブラインドタッチが重要なのかというと、手元を見るタイピング(タッチメソッド)は意味がないどころかマイナスになるからです。
手元を見てタイピングしていると、本来できるはずの手の感覚が、逆に鍛えられなくなります。
また、手元を見ながらタイピングが速くなってしまうと、ブラインドタッチのほうが遅く感じてしまうので、ついついいまできる(慣れている)やり方でやってしまいます。
なので、手元を見て速くしてはいけません。
「情報」の授業を担当している先生のブログには、見ながら打てる生徒はなかなかブラインドタッチが身につかないということも書かれています。
1年生「情報A」の授業もすでに5回ほどありました。年々タイピングが速い生徒が増えているようです。
ところが、逆にそこが難しい問題を呼んでいます。ある程度の速度で打てる生徒の2/3はキーボードを見ながら自己流のタイピングをする生徒なのです。
見ながら打てる生徒は、なかなかタッチタイピングが身につかないのです。
引用:情報科blog
いったん手元を見て中途半端に速くなってしまうと、なおすのが大変になるので、絶対に手元を見ないようにしましょう。
タイピングが速くなるためには、手元を見ずに、カナ文字・単語・文節に対して手の動きを覚え込ませる必要がありますが、手元を見ていると、いつまでも目を使うので、上達できなくなってしまいます。
↓手元を見て速くなってしまうと、ブラインドタッチをしたくても、このグラフのように、いったんゼロからスタートすることになります。
手元を見るタイピングで使っていたテクニック「視線移動・首の上下運動」はブラインドタッチでは使わないため、練習したものがすべてムダになります。
それどころか、一時的にスピードが遅くなることにストレスを感じるので、中途半端に速い人ほど、なおすのが大変になります。
だから、手元を見てタイピングしてはいけません。
まずスピードを捨てて、ブラインドタッチができるようにならないと、結局速くなることができないどころか、どんどん遠回りしてしまいます。
手元を見ているなら、すぐに手元を見るのをやめましょう。デメリットしかありません。
ブラインドタッチで練習するとスピードが遅くても上達する
逆に、手元さえ見なければ、スピードが遅くてもかまいません。
大事なのは「見ずに打つこと」です。
ミスが増えても、
- 正しい → 正しいキーということが指先と脳でわかる
- 間違えた → 正しくないキーということが指先と脳でわかる
「指をどう動かしたか」→「このキーが入力された」
という繰り返しで「指の動き」と「出力される文字」が脳にフィードバックされていきます。
このような仕組みのため、手元を見ていると、目に見えた情報が邪魔をして、脳に届くフィードバックが変わってしまいます。
そのため、たとえ間違えまくってもいいので、やはり手元を見ないことが重要になります。
手元を見ると脳の処理が変わってしまうので上達できない
上の説明でだいたい言っていることですが別の言い方でも説明します。
目で確認してからキーを打つと、上達できません。
●ブラインドタッチ(タッチ・メソッド)
正しいと思うキーを打つ → 答え合わせ
●手元を見てタイピング(サイト・メソッド)
目視で答え合わせ → 正しいキーを打つ
重要なのはキーを打つ → 答え合わせという順番です。
正しいキーを打とうとして打ち間違えるからこそ、そのフィードバックを修正して上達できるのに、目で確認してから打っていたら、永遠にできるようにならないどころか、間違ったやり方で上達することになります。
「自分が正しいと思ったキーが違う → 修正する」という順番が大事です。
ブラインドタッチの成長曲線
ブラインドタッチと手元を見るタイピングの成長曲線をグラフにしました。
手元を見るタイピングだと、さきに目・首の限界が来てしまうため、どうやっても頭打ちになりますが、ブラインドタッチなら指の筋力の限界や、文章を読む脳の限界まで上達して、練習によってその限界を少しずつ突破していきます。
しかも上のグラフの「人間の限界」は、本当の限界(競技タイピングの世界)の話なので、普通の人はグラフの中にある緑色の限界をいくつか超えるくらいです。
ブラインドタッチができるようになるまでは大変かもしれませんが、手元を見ているとどっちみちすぐに頭打ちになってしまうので、最初から手元を見ずに練習しましょう。
手元を見ると実用入力が遅くなる
「速く打てれば手元を見なくても一緒じゃん!」と思う人もいるかもしれませんが、文章を入力していくときは、打鍵以外の動作も同時並行で行われているので、画面も見ていないと結果的に遅くなります。
文章を入力するときは以下のプロセスが行われます。
- 何を打つのか考える(ゲームの場合はお題を認識する)
- 打鍵順を頭の中で組み立てる
- 打鍵する
そして同時に、
- 打つキーを間違えていないか確認
- 漢字変換が正しいか確認
という正誤確認も同時並行で行われます。
このうち下2つは入力画面を見ないと確認できないため、同時進行できなくなり、結果的にトータルの文章作成時間が長引くことになります。
もっと言うと、長めに入力してから画面を見たときに初めてミスに気づいたら、大幅なロスになります。
これ、タイピングゲームみたいに漢字変換せずに短文のお題が1問ずつ出題されるものだと影響が少なめなんですが、実際の文章入力では影響が大きくなります。
結局最終的には大学のレポートや仕事で文章を入力していくことになるので、やはり手元を見ることはデメリットが大きすぎます。
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ここまででブラインドタッチの細かい説明は終わりです。
ここからは、ブラインドタッチが完璧にできるようになったあとの話です。
ブラインドタッチできるようになったあとの練習
ぶっちゃけブラインドタッチが完璧にできるようになったら、あとは最初に紹介した「自分がよく使う文章をメモ帳に入力する」だけでも上達できるので、誰もが厳しいトレーニングをしなければならないというわけではありません。
大事なのは、自分の仕事や学業が快適にこなせるスピードまで練習することで、それをゴールにします。
それ以上、やたらめったら速くなっても、実生活でリターンは少なめです。
ちなみに「タイピングが速くなりたい」と言ってもいろいろなレベルがあります。
- 実用的なタイピングがしたい(資格1級レベル)
- YouTubeのすごいタイピング動画くらい速くなりたい(1級の2倍)
- 競技タイピングで戦うくらい修羅の道へ(1級の3倍以上)
このうち、速ければ速いほど良いと思いたくなりますが、実際は文章を考える速度がボトルネックになっていくので、資格1級レベル(漢字変換込み700文字/10分)くらいでも十分快適になります。
この速さで打てる人は少ないので、最終目標を1級くらいにして良いでしょう。これでも、ほとんどの人にとっては高い目標です。
タイピングの資格について記事を書いていますが、この中の1級やA判定が取得できれば、十分すぎるスキルです。
逆に、競技タイピングのような速さ(2000文字/10分以上)を目標にするのはおすすめしません。
ほとんどの人にとってそのスピードを活かす場面はなく、そのレベルに達するまでに膨大な時間を費やすことになります。世の中の速すぎる人たちと自分を比べて、ネガティブにならないようにしましょう。
↓じゃぁブラインドタッチができるようになったあとに意識することを書いていきます。
手元を絶対に見ない
え?しつこい?
それでもついつい見ちゃうんだよねー、という人は絶対に手元を見ないということを思い出してください。
タイピングソフトのデメリット
まず初心者が練習するのにおすすめなプレイグラムタイピングを紹介しましたが、ここからは、すでにブラインドタッチを習得して、ある程度タイピングできる人向けの内容です。
有名どころだと寿司打、e-typing、タイ速、Weather Typing、タイピンガーZなどがありますが、練習サイト・ソフトは以下のデメリットがあります。
- 漢字変換が無い(影響大)
- 出題されたワードのコピータイピングなので、自分の考えた文章とは感覚が違う
- 句読点が少ない
- 記号が少ない
- 収録ワード数に限りがあるので慣れてしまう
という感じで、実際に文章をタイピングするのとかなり違うことがわかりますね。
これらの違いを踏まえた上で練習しないと、「タイピング “ゲームだけ” うまくなって、実際の文章がそんなに速くならない」という結果になります。
ーーー
↓以下、タイピングソフトのデメリットについて、もう少し解説していきます。
漢字変換が無い
漢字変換ができる練習ソフトも一部ありますが、人によって使う漢字が全然違うので、効果的な練習が非常に難しく、システムも煩雑になりがちで、そもそも練習ソフトと漢字変換の相性が悪いです。
漢字変換はカバーする範囲が広すぎて、ソフトでの練習はコスパが悪いので、自分が普段入力している文章をお題に練習するのが良いでしょう。
このとき、漢字変換のスキルを上げたいからといって、普段入力しないような難しい漢字が含まれる文章を頑張って練習しても、それを実生活で使わないのであれば恩恵がありません。あくまで自分の生活ベースで考えましょう。
それこそ、前半で紹介した「自分がよく使うワードを反復練習」を参考にしてください。
コピータイピングと創作分の違い
タイピングソフトは基本的に、出題されたお題を入力(コピータイピング)していくので、創作文とは以下のような違いがあります。
- ソフト:目で見る → 入力
- 創作文:考える → 入力
このプロセスは脳の使い方が違うので、最終的に実用入力が速くなりたいなら、創作分の入力もしたほうが良いでしょう。
逆に、データ入力や書類の転記など、仕事でコピータイピングすることが多いなら、「目で見る → 入力」という処理に近い、タイピングソフトでの練習効果は大きくなります。
結局、これも目的によります。
句読点や記号が少ない
タイピングソフトは、句読点や記号を入力することが極端に少ないです。
実際の文章だと、。!?()「」は使うことが多いですが、これらを全く使わないタイピングソフトもあります。
打鍵速度が十分に速い人は、これらの句読点や記号も入力できるように、別途練習しておくと良いですよ。
※というか、カッコなどは入力しにくい位置にあるので、そもそも単語登録やローマ字テーブルのカスタマイズをしたほうが大幅に入力しやすくなります。実用入力が速くなりたい人はぜひ読んでください。
収録ワード数が少ない
これは、たくさん練習する人にとってのデメリットですが、タイピングソフトは収録されているワード数に限りがあるため、そのうちワードに慣れてしまいます。
たとえば寿司打はよくプレイされますが、各ステージに収録されているワード数はそんなに多くなく、頻繁に同じワードを入力することになります。
あまりにも寿司打ばかりプレイすると、寿司打のワードばかり速く打てて、実用入力に効果が薄くなってしまいます。
※覚えゲーになってしまった時点で、目に入ってきた文字列を処理する過程がすっ飛ばされてしまうので、実用入力に恩恵が少なくなります。
なので、いろいろなワードに慣れる意味で、ひとつの練習サイトにこだわらないようにしてください。
タイピングソフトのメリット
逆に、タイピングソフトはその特徴を活かして練習に取り入れましょう。
- 普段は打たないワードで、さまざまなパターンの指の流れから、脳を鍛えられる
- ハイスコア更新や対戦に勝つことなど、ゲーム性によるモチベーションアップ
- 収録ワード数に限りがあるので、逆にほどよい反復練習になる
タイピングソフトは、実用入力よりも狭い範囲の、重点的な練習をするなら効果的です。
たとえば、野球だったら、
- 実用入力は、「試合」
- タイピングソフトは「素振り」「トスバッティング」「ベースランニング」「遠投」「守備練習」などなど
実用入力を鍛えたいからと言って、試合を漫然と繰り返しているだけだと、反復練習が少ないせいで苦手な部分は放置され、得意なことだけ伸びて、頭打ちになります。
いざ本番、苦手なボールが飛んできたときに、いつもミスをしてしまいます。タイピングの場合は膨大な文字の組み合わせなので、同じパターンが頻繁にやってくることは少なく、「あ、またミスしちゃった」が繰り返されます。
センスがある人は試合だけでも気づきを得てどんどん成長し、
センスがない人は惰性で同じ失敗を繰り返し、頭打ちになります。
タイピングソフトは、センスがない人(というか、天才以外のほとんどの人)にとって、(使い方次第では)非常に効果的です。
気をつけないといけないのは、使い方次第ということです。
タイピングソフトを漠然と練習するだけだと、(漢字変換・句読点・記号が少ないぶん)ヘタしたら実用入力を惰性で練習するよりも良くないでしょう。
タイピング全体のスキルは「打鍵速度」「正確性」「漢字変換」「単語登録」「薬指や小指の強さ」「初速」「先読み」「速読」「最適化」など、たくさんありますが、
実用入力だと「ある程度の打鍵速度」「正確性」「漢字変換」「単語登録」「先読み(先に考える)」「最適化」「ショートカットキー」あたりが役に立ちます。
実用入力に「初速」は全然必要なく、「異常な打鍵速度」「ピアニストのような強靭な指」も必要ありません。
タイピングソフトは、「自分がふだん使わない語彙」の練習、そして収録ワードが少ないために「適度な反復練習」になり、次に出題されたときに苦手ワードが克服できたかどうかチェックできます。
具体的には、明らかに遅かった文章をその場でメモ帳でもいいので何回か反復練習して、次に出題されたときに、克服できていなければもういちど反復練習、の繰り返しです。
練習時間は重要ではありません。ミスしたらすぐに、メモ帳で数回反復練習するだけです。(タイピングが趣味でもない人が、惰性でストレスを溜めながら長時間練習するのはまったくおすすめできません。)
その結果、ミスしなかった文章は反復練習しなくていいし、最終的にミスし続けた超苦手な文章の反復練習が多くなり、効率的な練習になります。
とくに、凡人の頭は反復練習を短い期間でやらないと、定着してくれません。忘却曲線の彼方に消え去ってしまいます。
野球の試合のように、「たまに立つ打席」「たまにボールが飛んでくる守備」だけだと、定着しません。
能力を伸ばしたければ、どこまで分解できるか(どこまで分解すれば効果的か)判断するのが重要とも言えます。
タイピングだと、たまに出てくる文字のパターンで、同じミスや詰まりを経験した人は多いんじゃないでしょうか。
上記の練習方法を、さまざまなソフト、つまりさまざまな語彙で克服していけば、初めて書くような分野の文章でも、淀みなく入力できるようになります。
※反復練習に特化したTypeLighterというソフトもあります。
ピアノが弾きたいからといって、通し練習でミスしては最初からやり直しはダメな練習方法です。これは惰性でタイピング練習するのと同じ。
かといって、ハノンを極限まで鍛え上げるのは、どんな初見文章でも高速入力できるタイパーの世界なので、一般人がやる必要はありません。
なので、難しい部分を「片手ずつ」「2小節だけ」など、細かく分解して練習するのが、時間が限られる一般人にとって最も現実的な方法です。
楽器練習の方法論とタイピング練習はものすごく親和性が高く、楽器の経験がある人は非常に有利です。
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タイピングソフトについて長くなってしまったので再確認ですが、最終的には、仕事でメールや問い合わせ返信する人や、レポートを書く学生など、自分で考えた文章をタイピングする人を想定しています。
そういう人たちにとって、タイピングソフトも使い方次第で効果的、という趣旨になります。
タイピングゲームについてまとめている記事もあるのでどうぞ。
漢字変換込みの和文を練習する
漢字変換込みの文章を練習するなら、とりあえず自分の普段入力している文章を打てば良いと思いますが、もっと多くの語彙に対応したいなら、タイピング検定の過去問をコピー打鍵するのも一つの方法で、「タイピング資格の記事」にまとめているリンクからたくさん見ることができます。
特に、仕事で転記する機会が多い!という人なら効果的かもしれません。
↓以下の動画はワープロ検定1級の過去問をメモ帳に入力しています。
チャットで練習する
漢字変換込みの文章を練習するもうひとつの方法がチャットで、こちらのほうが頭の中で作った文章を入力するので、メール作成や問い合わせ返信などの実務に近いでしょう。
パソコンでLINEなどのメッセージアプリを使ったり、オンラインゲームでチャットすることが多い人にとっては、とても効果的な練習方法になります。
タイピングの資格を取得してみる
学校でタイピング検定を受験する機会があり、コピータイピングを上達させたい人だとしたら、「タイピング資格の取得」をしてみましょう。
練習する動機付けになるし、受験日という期限があるから「練習しないと!」という締め切り効果も得られます。
タイピングの資格そのものが就職に有利になるほどではないと思いますが、「1級です」のひと言でスキルを証明できるので、非常に楽です。
タイピング資格の記事をどうぞ。
長時間練習しすぎはダメ
タイピングは筋力の限界よりも、脳から指に「動けー!」と命令する処理能力のほうが先に限界を迎えます。
速く正確にタイピングできない原因は(よっぽどの競技タイピングじゃない限りは)脳から指への命令がうまくいかないからです。
その命令をうまく出すためには反復練習が必要になりますが、1日で何時間も練習して、ほかの日に練習しないよりも、30分ずつでもいいので、毎日練習するほうが効果的です。
脳が元気な状態で反復練習しないと、神経回路が繋がりにくいと考えられます。
つまり、あまりにも長時間の練習は、(脳を元気な状態に保つのが非常に難しいため)練習効率が落ちまくります。
「とにかくがんばる!」とガシガシやってしまうのは逆効果なので、頭打ちだと感じている人は、なおさら休みましょう。
また、忘却曲線の面でも、細切れに頻度を増やすと効果が高くなると考えられます。
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これらの理由から、「ガッツリ練習しよう!」と意気込むと効率が悪いので、スキマ時間に(数分でも)気軽にやってください。
良いキーボードを買う
練習量が多い人は、良いキーボードを使うことも検討してください。(良い楽器を買うのと似ています)
一般的なメンブレンキーボードは押下圧(文字が入力されるまでの重さ)が60g前後のものも多く、経年劣化によって軋(きし)みが発生し、さらに重たくなることもあります。
このようなキーボードで長時間練習すると腱鞘炎になってしまうので、指や腕に疲れ・痛みを感じたら、キーボードの買い替えを検討しましょう。
まだ使えるからといって体に悪いキーボードを使い続けると、それ以上のデメリットになってしまいます。
予算が許すなら静電容量無接点方式のRealforceがおすすめです。
※Realforceは明らかに値段が高いので即決はできないと思いますが、耐久性が圧倒的に違います。次の候補になるだろうメカニカルキーボードはチャタリングが発生することを考慮すると、トータルのコスパはどっちが良いのか決めきれません。
予算がそこまで出せずに普通のメンブレンキーボードを買う場合は、せめて型番で検索して、メーカー公式の仕様から「押下圧」を見てください。50gなら軽いほう。60gならメンブレンとしては普通だけど重い、という感じです。
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キーボード選びは楽器と似ています。
安い楽器でも、もちろん努力によって上達することはできますが、キーボードの軋(きし)みと一緒で、自分の出したい音が楽器の性能によって制限されてしまいます。
だから、すでに上手な人や、もっと上達したいという人は、それに見合った道具を使いましょう。
スマホ世代のタイピングスキル
以上、今までのタイピング経験から書けることをすべて書きました。
ブラインドタッチできる割合の章でもいろいろリンクを貼った、大学生を調査したタイピングの論文もいろいろ読んだりするんですが、だいたい以下のような傾向があります。
- 大学1年でブラインドタッチできるのは15%前後
- 中学・高校で情報の授業が不十分な学校が多い
- 大学生でもローマ字入力のつづりが正しく打てない生徒が多い
- タイピングが重要だと認識している生徒は多いが、スキルがともなわない
- スマホの普及によってますますパソコンを使う機会が減っている
- 大学入学時のe-typingスコアが104.9点(名古屋学院大学1341名)社会人も含めた全国平均の半分以下
その結果、大学のレポートや仕事でいざパソコンを使うときに困る可能性が高いと思われます。
また、「パソコンを使う機会が減っている」裏付けとして、「青少年のインターネット利用環境実態調査 – 内閣府」によると、どんどん利用率が下がっていることがわかります。
↓2014~2017年のデータをExcelでグラフ化しました。(値は「インターネット利用率」ですが、同調査に記載されているネットにつながっていないものも含めた利用率はごく少数なので、データが揃っているほうで統一しています。)
高校生はほとんどスマホを利用(94.1%)していて、パソコンの利用率がどんどん下がっています。
中学生はパソコン利用率が下がることに加えて、これからますますスマホの利用率が上がりそうです。また、高校生よりもタブレットの利用率が高いのも特徴的。
この「利用率」は自分専用・家族共用に限らず、パソコンを使っているかどうかの割合なので、世帯パソコン所有率よりも実態をつかみやすいと思います。
家庭におけるパソコンの所有率については「パソコンの普及率の長期推移をさぐる(不破雷蔵) – 個人 – Yahoo!ニュース」によると、2人以上の世帯におけるパソコン普及率が78.4%でここ数年横ばいなので、家にパソコンがあっても利用しない中高生が増えたということです。
このように、スマホが急速に普及したことと、「情報」の授業体制が十分じゃないことによって、タイピングできない学生が多いのも当然の結果ということがわかります。
つまりは、パソコン難民が多くなっているのが現状です。
福島高専の取り組み
ただ、タイピングスキルが低い理由は生徒の能力が低いわけではなく、ちゃんと授業の環境と時間を確保すれば伸びる事例もあります。
↓以下、福島工業高等専門学校(福島高専)について。
「福島高専の情報基礎科目におけるタッチタイピング学習での学生の傾向について」という論文や、
「世界標準レベルの「タイピングスキル」を目指して」という記事によると、充実した環境を用意して、生徒のタイピング能力を飛躍的に向上させています。
- 1人1台パソコン
- 学校でいつでも練習可能
- e-typing pro を利用しているので自宅での練習も成績に反映される
- 「動機分析について」という報告によると、高校生の世代にとって「友人との比較・負けたくない・ランキングを見て」という理由が大きい。
- 生徒の練習実績がオンラインで管理できるので、できない生徒へのアドバイスや補習をもれなく実施しやすい
- 基準を満たさない生徒は何度も補習を実施する時間を確保
- e-typing209点(ランク A- )という合格ラインを設定することによって、やらなければいけないという意識を持たせる
- 入学時に平均109.9点だったスコアが(グラフを見る限りでは)平均240点前後になっている
- 2018年度は99%の生徒が目標に達している
この中でもとくに、ランキングが全体に公開されることによって「友達に負けたくない」「高いスコアは称号システムのように自慢できる」など、合格ラインよりさらに上のスコアについてはゲーミフィケーションによる効果が高いと思われるので、イータイピングに限らず、ユーザーアカウントをクラウド管理するタイプのタイピングゲームなら、同様の効果が期待できるんじゃないでしょうか。
サービスを作る側の人たちにとっては、ゲーミフィケーションの書籍を読んでみると参考になると思います。
※学校の授業では寿司打やP検タイピングを使う例をよく見ますが、競うとしてもまわりの友達だけなので自分の実力が可視化されません。これだと、「もっと速くなりたい・勝ちたい」という動機づけが起きにくくなり、タイピングに熱中する生徒が生まれにくくなりそうです。(ゲーミフィケーションで言うと、内発的動機づけが起こりにくい状態)
以上、このくらい環境を整えて、時間も十分に確保すればタイピング能力を伸ばすことは十分に可能だということがわかります。
タイピングできないのはスマホ世代だからという理由だけじゃなく、キーボード入力が重視されていない授業も大きな原因のひとつです。
まとめ
そして、とてもじゃないけど自分には全国の「情報」授業の根本的な改善なんてできないので、ブログを書いて見てもらおうと思ったわけです。
もちろんブログを書いただけだとみんなに読まれるわけもなく、だけどとても重要なことだとも個人的に思っているので、実は、
合計 10万円 自腹でTwitter広告にも出してみました。
もちろんそんな規模だといくらお金があっても足らないし、利益が出ない記事に何十万もコストをかけることはできません。
なので、お願いです。
友達、学校の先生など、知り合いに「こんなのあったよ」と教えてあげたり、リツイートによる拡散をしてもらえると助かります。
↓Twitter広告に出稿しているのはこのツイートです。タップしたらツイートに飛びます。
ブラインドタッチ上達のコツと練習方法|ゼロからワープロ検定速度1級を目指すhttps://t.co/H3wljij5K2
— パソ活 (@tattitaipingu) May 15, 2019
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以上です。
手元を見ずにタイピングできることを最優先にして練習してください。
長くなったので、最後に練習する順番をまとめておきます。
- 指の配置
- ホームポジションに指を置く
- 標準運指は正しいのか
- アンカーキーは使わない
- ローマ字入力の正しいつづり
- 基本練習
- 五十音
- よく使う言い回し(3文字)
- よく使う言い回し(4文字以上)
- 自分がよく使うワードを反復練習
- より高度な練習
- 意識
- チャンク化
- イメージトレーニング
- 少しずつ頻繁に
- 良いキーボードを使う
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その他関連記事などを貼っておきます。
関連:英語タイピング練習サイト
関連:Twitter広告の検証
個人的な話ですが,タッチタイピングがある程度できるようになってきた時,学校などパソコンがないところで机をタイピングするエアタイピングみたいなので,指がスラスラ動く様になっていました.
実物のキーボードが無くても大体この位置にこのキーがあると無意識に認識できると良いんでしょうね.