先日、もう10年以上前の動かない古~いパソコンを処分しようということになり、個人情報が入ってるのでHDDを破壊したほうが良いかな?という話に。
パソコン本体やHDDを破棄する方法についていろいろ検索してみると「ハードディスク 破壊方法」とか「ハードディスク 破棄」「ハードディスク 壊し方」などが検索候補に出てきます。
じゃぁHDDを実際に破壊したことを写真付きでブログに書いたら、見たい人がいるんじゃない?と思ったが吉日。
自分で分解してみると、見たことない部分が見れてなかなか興味深かったし、HDDの処分方法について他にも調べたので合わせて紹介してみます。
もくじ
ハードディスクを破壊する理由
知ってる人は知ってますが、パソコンの「ゴミ箱を空にする」だと、素人でも簡単にデータを復旧することができてしまいます。しかもフリーソフトで。
Vectorにファイル復旧のカテゴリページが用意されるほどいろいろあります。
「ゴミ箱を空にする」=「データが見えないようになっているだけ」で、実際にはHDDにデータが残っていて、簡単に復元することができてしまいます。
データを復元させないようにするためには、データ抹消ソフトなどを使って、何回もデータを上書きしてグチャグチャにしないといけません。
何回も上書き処理をするので結構時間もかかります。(20GB~60GBで1時間ほど。1TBのHDDだと丸一日以上かかることも)
1TB以上あるHDDだとかなりの手間がかかるので、自分でのデータ抹消はなかなか大変です。誰も信用できない・機密情報だから絶対に抹消する!というレベルなら止めませんけど。
自分で抹消するのは大変なので、データ消去も無料のパソコン回収サービスを利用するのも一つの方法です。
大事なのは個人情報てんこ盛りのHDDを復元できる状態で捨てないということなので、HDDの処分については以下の4通りのいずれかを選ぶことになると思います。
ハードディスク破壊サービス
上に書いてある「業者に物理的に破壊してもらう」というのがこれです。
ソフマップなどに持っていけば、1000円くらい費用はかかりますが、あっという間にHDDを復元不可能な状態まで破壊して、廃棄処分までしてくれます。(この記事によると、現在は回収してくれなくなったようです)
「分解するのは危ない(ガラス製プラッタだと破片が飛び散るかも)」「電動ドリルを買うのは面倒」「めったにこんなことする機会は無い」という人なら破壊サービスを利用したほうが気楽でしょう。
↓業者が使うようなHDD破壊のための機械の動画(※音量注意)
破壊装置にかけた後のHDDを見ると、4箇所の貫通と、全体の歪みによって読み取りを不可能にしているようです。
自分で同じように破壊するなら、分解もしくは鉄工ドリルが必要になるので、大変そうならこういう破壊サービスを利用するのもひとつの方法です。
「HDD物理破壊サービスの利用者が急増、アキバでサービスを提供しているお店を紹介」という記事では、ソフマップ、ドスパラ、PCコンフル、3社のHDD破壊サービスを紹介しています。
↓実際に破壊サービスを利用した人の体験談
- ビックカメラでハードディスクを物理破壊してもらった | しなぷすの独り言
- ビックカメラのハードディスク(HDD)破壊サービスを利用してみました | アシタノワークス
- 廃棄予定のハードディスクを破壊してもらってきた | シゴタノ!
- ソフマップのHDD(ハードディスク)破壊サービスを利用しました!パソコンは破棄するまえに残存データをしっかり断捨離しよう! – A1理論はミニマリスト
- 【物理破壊でHDDを処分】ビックカメラ・ソフマップ ハードディスクを物理的に破壊するサービス – しろくま無添加 写真&子連れ旅行記
HDD破壊サービスを利用したほうが良さそうなのは、「破壊する工具を持っていない」「分解が怖い」「面倒」という人向けだと思います。
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さて、やっとこれから本題の「自分で物理的にHDDを破壊」をしていきますが、手間も道具も必要になるので、「すでに工具を持っている」「自分でいろいろ試したいという人」向けです。
ハードディスク分解スタート!
さてさて10年以上もふたを開けていないパソコンの中身はどうなっているでしょうか。
予想どおりというか当たり前ですが、ホコリがこびりついてて触りたくない!
写真右側にあるHDDをガコっと取り出して、早速分解スタートしていきます!
トルクスネジを外す
まずハードディスクのふたを外すためにネジを開けようとしたんですが、ネジ穴が普通の形じゃない!星形!(トルクスっていうらしいです)
自分は、今回分解するときに初めて、トルクスネジの存在を知りました。
パソコンやゲーム機を分解する人にとってトルクスは馴染みがあるかもしれませんが、持っていない人もいると思います。
↓自分が最初に買ったのは、以下のようなセットになった簡易的なものでした。
トルクスだけでも10種類あるのでほとんどの分解に使える。T3/T4/T5/T6/T7/T8(穴あき)/T9/T10(穴あき)/T15/T20(穴あき)
もしくはHDDを分解することが多いならしっかりした単品のトルクスドライバーでも可。デスクトップ用の3.5インチHDDはT8サイズのトルクスネジになります。
3.5インチHDDでよく使われるT8サイズのトルクスドライバー。
※自分はそんなに詳しいわけじゃないので、すべてT8で対応できるかはわかりません。
ホームセンターに行けば何かしらあるので、実際に触って確かめても良いと思います。
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そしてパカっとな・・・と思ったら開かない!
なぜかパカっじゃなくてクルっと回る。
HDDの円盤(プラッタ)が見える。う、美しい。
隠しネジを探す
美しいのはわかったけど、そんなことよりふたが外れない。
どこかを支点にクルクルと回るのでシールが怪しいと思って剥がしてみると、
ネジが現れました。こんなところにネジが隠れてやがりました。
たぶん「このシール剥がしたら保証が受けられませんよ」的なやつですね。
ふたを外すとついにハードディスクの全貌が現れました。いやー、プラッタ(円盤の部分)めちゃくちゃ綺麗。もう完全に鏡。
たぶんふたの隠れてたネジは、この真ん中のネジ穴(ステッピングモーターという部分)に止まってたと思われます。
↓そして円盤の中心のトルクスネジを全部外した姿がこれ。(中心部分はスピンドルモーターというらしいです)
↓そしてHDDを読み取る磁気ヘッド(下の写真左側)。
予想以上の造形美になってます。
プラッタが外れない
しかしプラッタはがっちり固定されていて、外すことができません。
分解してバッキバキに壊したいので、見えるネジはすべて外したんですが、プラッタは外れてくれませんでした。
裏面にシールに隠されたネジがありましたが、これは星形ではなく引っ掛かりの無い穴だったので回すことさえできず。
そこでもっと本格的に壊すべく家の外へ。
青空が写ってる。う、美しい。
プラッタを破壊
プラッタを取り外せないので、とりあえず表面をいろいろなもので傷つけてみました。
プラッタの素材にはアルミニウム合金などの金属・ガラス・セラミックが使われることがあり、ガラスやセラミック製だと破片が飛び散って危ないので、不用意に叩かないように気をつけてください。
こうなります pic.twitter.com/jxW88hTnJl
— ゆきかざ❄ (@yukikaza_0127) May 27, 2020
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こちらの記事では、ガラス製プラッタが派手に割れる様子が写真でよくわかります。
ガラスだったら刺さるかもしれないので、素手で触らないようにしましょう。(と言いながら自分は下調べせずにガラスが危険ということも知らなかったので、素手で作業しちゃってますが……)
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↓自分が今回破壊したHDDは金属製のプラッタだったようで、ガンガン叩いても割れませんでした。
カッターナイフ
カッターナイフでも一応キズが付く程度の強度みたいです。
ハードディスクはプラッタと磁気ディスクの隙間が10nm(ナノメートル)(0.00001mm)程度浮いた状態で高速回転する超精密なパーツなので、ナイフのキズ程度でも読み取りできなくなりそうなんですけど、どうなんでしょう。
マイナスドライバー
カッターナイフだと表面にキズを付ける程度しかできなかったので、ドライバーで深いキズを付けられるか試してみました。
おもいっきり突き刺しましたが、意外とかなり硬かったです。
トンカチ
ナイフやドライバーなんて小さいものじゃインパクトが少なかったので、トンカチでガッツンガッツンと叩きました。(金属かガラスかわからない段階では叩かないように気をつけてください)
そしたらさすがにHDD全体が歪んだ。景色も歪んだ(笑)
ペンチ
もうデータの読み取りは確実に不可能な状態になりましたが、さらにひん曲げてみようということでペンチでつまんで思いっきり曲げてみました。
※このようにグニャッと曲がる場合、素材はガラスやセラミックではなく、金属のようです。
鉄工ドリル
最後の最後に鉄工用ドリルで完膚なきまでに貫通しました。ここまでやればさすがに復旧は無理でしょう。
業者が使うハードディスク破壊装置も、貫通穴を4箇所空けるパターンが一般的みたいなので、鉄工ドリルによる貫通が最も確実な方法のひとつなんでしょうね。
ぶっちゃけドリルで貫通させれば、トンカチで叩かたなくても読み取りできなくなるとは思いますけど、ソフマップが使ってるような破壊装置だと、さらに歪ませもしているようです。
自分でする範囲ならケースのふたも外さずに、外側から鉄工ドリルで貫通させればOKかもしれません。今回は実験ということでいろいろやってみました。
HDDのケースを付けたままドリルする場合、太いドリルだと刃が入っていかないかもしれないので、細いドリルビットを使ったほうが良さそうです。
ガラス製のプラッタは破片が飛び散るので危険です。
ドリルが使えるなら上記動画のように、ケースを付けたままドリルするのが、破片が飛び散らないので一番安全でしょう。もしガラス製プラッタだった場合、ドリルするとバキンっと割れる音がして、HDDを振るとカラカラと音がするようになるので、壊れたかどうか判断しやすいです。
もし分解して、プラッタを直接壊すなら、ビニール袋の中に入れた状態で、上にかぶせて、ビニール袋の上から叩いてみればいいかもしれません。
プラッタが割れても破片が飛び散らず、素材を判断することができます。
プラッタが外れない
さて、データの破壊は完全に終わったんですけど、分解してみたいので続きます。
プラッタ(円盤の部分)が外れないんですよ最初からずっと。
しばらくしげしげと見つめていると、裏面にいかにも何かがハマってそうな穴が・・・
ガンガン叩いてみると
パカッ!ビンゴ!
どうやらこの怪しい穴にプラッタがハマっていたみたいです。
↓中身はこんなふうになってます。
トンカチで叩いた衝撃で派手に割れてますね。赤いコイル?で磁気を操作してプラッタを回すのかな?
プラッタは2枚で構成されていたようです。最近は4枚プラッタも当たり前になっているので少ないほうなんでしょうね。
これを見てわかる通り、プラッタ(円盤)が何枚もあるのは最近のハードディスクだと当たり前なので、ドリルで穴を空けるなら、貫通させないといけません。
トンカチでガンガン歪ませても、2枚目以降のプラッタが歪んでなかったらデータ復旧できる可能性が残ってしまうので、金属製プラッタを破壊する場合、トンカチによるやり方は効果がイマイチかもしれません。
ハードディスク破壊で気をつけること
ハードディスクを破壊してみて、気をつけたほうが良いかもという点をまとめました。
鉄工用ドリルがあると簡単で確実
最も確実な方法がドリルによるプラッタ貫通なので、電動ドライバーと鉄工用ドリルの刃を持ってるかどうかで、破壊の簡単さが変わってきます。
比較的細いドリルビットならHDDケースの外側から貫通できるので、もしプラッタがガラス製でも破片が派手に飛び散らずに、そこそこ安全に作業できそうです。(ガラス製プラッタ “押し割る” という感じかも)
分解にはトルクスドライバーが必要
鉄工用ドリルがない場合は分解する必要があるので、ふたを開けるためにトルクスドライバーが必要になります。
そんなに値段も高くないので電動ドリルに比べたら買いやすい。
隠しネジ
とりあえずハードディスクを分解する時は隠しネジを探しましょう。
ただし、剥がしたら保証が受けられなくなるので気軽に分解するのはやめておいたほうが良さそうです。今回は壊すから関係ないけど。
ハードディスク分解に使った道具
今回ハードディスクの分解に使った道具の紹介です。
こんなに用意する必要はないと思うのでほどほどにしておきましょう(笑)
特殊ドライバーセット(トルクス含むもの)
ハードディスクのふたを開けるのに使用した特殊ドライバーセット。
とりあえずトルクスネジをたまにしか使わなさそうだったら、1000円程度のトルクス以外もセットになったものを買っておけば、ほとんどの分解に対応できます。
↓また、こういうヘラセットがこじ開けるのに結構使えます。きちんとしたものだと薄い割に強度があるのでおすすめ。
鉄工用ドリル
ハードディスクを徹底的に破壊するためだけに鉄工用のドリルを買う人はいないと思いますが(笑)金属の加工って意外と手軽にできますよ。
電動ドライバー
電動ドライバーは「インパクトドライバ」と「ドリルドライバ」がありますが、ひとつ持っておけば良いのはインパクトドライバです。これ1台あればビス打ちとドリルどちらもできます。
こちらの本棚自作の一部でも紹介していますが、DIYで必要な電圧が比較的小さいことから、10.8Vのもの、その中でもハイコーキがおすすめです。
電源コード式は少し安く買えますが、ほんとに使わなくなります。
家具の組み立てなど、使用するシチュエーションから考えると、充電式にしておくことを強くおすすめします。
まとめ
さて、自分でHDDを物理的に破壊してみましたけど、勝手がわからずに思ったより大変になりました。
やり方が分かってたら、もっと気楽にできますけどね。鉄工ドリルで穴空ければ終わりなので。
自分でちゃんと破壊できる道具を持っていない人はHDD破壊サービスを利用するか、データ消去も無料のパソコン無料回収サービスを利用したほうが現実的かなと思います。
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↓HDDの分解に使える特殊ドライバーセットのレビューはこちら。
関連:トルクスなど38種類の特殊ドライバーセットAC6088Aレビュー
↓こちらはマウスの分解修理
関連:ロジクールM570の分解とチャタリング修理
ほかに何か使い道はないか考え中です、磁石は非常に強力なので道具部屋の壁に取り付けよく使うものを引っ付けています、気を付けないと磁石同士で指を挟むことがありました、ディスク自身何か良い使い道があれば教えて