Realforceでキースペーサーを使いたいけど、Realforce R2のAPCモデルにしか付属していないから無理!
って人向けに、キースペーサーを自作する方法についていろいろ書きました。
結論、キースペーサーの自作は面倒で難しいです。(一応不可能ではない)
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まずキースペーサーってどんなものなのか。
↓この写真のように、キートップの下に敷く2mm厚や3mm厚のシートです。
これによって、底打ちまでの距離(キーストローク)を短くすることができます。
でも、キースペーサーはRealforce R2のAPC機能付きの上位モデルにしか付属しておらず、別売りもされてないので、欲しくても手に入れることができません。
なので、キースペーサーを自作できるかいろいろ試して、実際の打鍵感などの感想をまとめました。
もくじ
Realforce純正のキースペーサーはやわらかい
最初、勘違いしていたんですが、本来のキースペーサーは低反発でけっこう柔らかい素材のようです。
↓この動画でRealforce R2用のキースペーサーが見れますが、(5:17)でAをぐっと押し込んだ後に、低反発素材のようにジワーッと戻ってくる様子がわかります。
え?なんで?硬くてもいいんじゃね?
と思っていたんですが、実際に試してみたらその理由がわかりました。
キースペーサーが硬いと、キートップをカチッとはめられないんです。
※分解すれば硬い素材でも使えるけど、単純に面倒だし保証が使えなくなるので、この記事ではおすすめしません。
キースペーサーの自作
ホームセンターでいくつか買ってみて試した素材の紹介。
- ゴムシートは硬くていろいろ不都合があるからダメ
- スポンジは4mm幅にカットするのが少し難しく、2mm厚が無い。純正よりも硬めのため打鍵感も違う
という感じで、最適な素材が見つかっていません。
ゴムシート
最初は、ホームセンターにあるゴムシート・ゴムロールを買ってきて、
細く切って下に敷けばええやん、と思っていました。
で、さっきも書きましたが、普通のゴムの硬さだとキートップをカチッとはめられないからダメなんですよね。
一応回避策はあって、前面カバーを外して、キートップを付けた状態のまま横からシートを差し込むと、硬い素材でもキースペーサーとして使えます。
でも、キーボードの分解は保証も受けられなくなるし、ほとんどの人にとってはハードルが高いので、あまりおすすめできる方法ではありません。
なので、なんとか手軽にできるように、柔らかい素材を探してみました。
ポロンスポンジロール
ホームセンターで、今度はゴムシートではなくスポンジを探してみたところ、3mm厚は結構あるけど2mmが無く、1.5mmしか使えそうなものがありませんでした。
見つけたのはポロンスポンジロールというもの。
粘着タイプもありました。長いとカールするので、もう貼り付けてもいいや、って人はこれでもいいかもしれません。
ポロンスポンジの硬さ
通常のRealforceには3mm厚は使えないので、1.5mm厚を購入。
↓断面はこんな感じで、ちょっと密度があるスポンジ。
ぐっと押し込むと0.3mmほど沈み、1.5mm → 1.2mmに。純正のキースペーサーよりはかなり硬めです。(純正は2mm → 1mmになるくらいやわらかい)
カットするのが難しい
「これならいけそうだ」と思ったのも束の間。
カットするのが難しいという問題が発生。
スポンジを敷く隙間はデジタルノギスで測ったら4.2mmだったので、4mmくらいでカットできれば良さそうってことはわかっているんですが、
(※この写真はゴムシート)
なんせスポンジはやわらかいから切るのが難しい。
- 普通のカッターナイフだと歯が入らず断面ガタガタ
- ハサミだとまっすぐ切れない
- 卓上のロータリーカッターだと4mmに合わせるのが難しい
という感じで、苦戦しました。
結局、最終的にハンディタイプのロータリーカッターが一番綺麗に切れることがわかります。
※一気に切ろうとするとロータリーの押し圧力で斜めにずれていくので、細かく前後させながら切ります。
取り付け
キーボードに取り付ける時は、端っこのいくつかのキートップを外して、グイグイと押し込んでいきます。
押すだけだと途中で進めなくなるので、尖ったものでスポンジを押さえて引っ張ります。
これでやっと完成です。キートップをすべて外す必要がないので、最後の取り付けは意外と時間がかかりません。
ちなみに1.5mm厚のスポンジなら、グッと押し込めばキートップをカチッとはめることは可能でした。
純正のキースペーサーよりもかなり硬いので、2mm厚だとキートップをはめることができるかどうかわかりません。
打鍵感
1.5mm厚ポロンスポンジロールを取り付けた状態の打鍵感は、気持ちよさが損なわれたような気がします。
底打ちのカタカタ感が無くなったからか、「打った!」というフィードバックを感じにくくなり、余計な力が入ってしまうことが多いように思います。
また、デジタルノギスで実測したところ、1.5mm厚スポンジによってキーストロークが4.0mmから3.5mmに短くなりましたが、アクチュエーションポイントは2.2mmのままなので、底打ちの距離感から感じるよりも余分に押し込まないと入力されない感覚があって、入力ミスになることが増えました。
なので、個人的にはキーストロークを短くするなら、同時にアクチュエーションポイントも短くしないと快適にできないような気がします。
キースペーサーを自作する人は、Realforce R2のAPC機能付き(キースペーサー付属)モデルを持っていない人だろうから、アクチュエーションポイントも同時に短くしようとしたらオーリングによる改造しか手段が無いと思いますが、これはこれでなかなか高いハードルになります。
ダイソー EVAスポンジシート 1.5mm厚 A4サイズ
あとになって知ったダイソーのスポンジシート。A4サイズ、1.5mm厚。
以下のような特徴があり、作業性が非常に良いです。
- 普通のカッターナイフでも綺麗に切れる
- 最初からシート状のため反りもない
- A4長辺(約30cm)がキーボードのメイン部分の横幅(28.5cm)とほぼ一緒なので都合が良い
- 激安(A4サイズ1枚あたり22円)
ただしポロンスポンジロールよりも硬めのため、ペタペタとした打鍵感で弾力がほとんど感じられず、好みが分かれるかもしれません。
↓4mm幅でザクザク切って、
↓横からグイグイ押し込みます。反りがほとんどなくて硬めのため、押し込むだけで端っこまでいけます。
個人的には打鍵感が好みに合わなかったですが人によって好みも違うだろうから、試しにやってみたいなら、作業のしやすさでもコストの面でもとりあえずやってみると良いかもしれません。
KEY SPACER for REALFORCE RGB
安く買えるチャンスがあったので、純正の「KEY SPACER for REALFORCE RGB」を買ってみました。
RGB用として売られていますが、普通のRealforceにも2mm厚なら一応使えます。(3mm厚は入力できなくなる)
ただ、2mm厚のキースペーサーでキーストロークが4.0mmから3.0mmに短くなりますが、アクチュエーションポイントは2.2mmのままなので、実際に打ってみると違和感を感じます。
当然ですが、本来はAPC機能搭載モデルでアクチュエーションポイントを1.5mmにして使ったほうが用途に合っているでしょう。
↓光沢があるほうが裏面。
使うのはとても簡単で、キートップを抜いて置くだけ。キートップの取り付けはグッと押し込めばカチッとハマります。
自作したポロンスポンジロールと比べて大きな違いは、純正キースペーサーのほうがかなりやわらかいです。
↓純正は、グッと押せば1mmくらい沈みます。
↓一方、自作で使用したポロンスポンジロールはほとんど沈みません。
このくらい純正のほうはやわらかいので、底打ちの打鍵感がグニュッという感じがして、個人的には好みの打鍵感ではありませんでした。
※ただしキースペーサーの評判をネットで検索する限りでは好きな人もいたので個人差がありそうです。
そしてこれも底打ちがやわらかくなったせいか、「底打ちした!」というフィードバックを感じにくくなり、慣れるまでは余計な力が入りました。
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まとめると、アクチュエーションポイントが調整できない通常モデルの場合、キーストローク(底打ちまでの距離)を短くしただけだとキーの反応が速くなるわけでもなく、打鍵感が大きく変わってしまうので、個人的にはそこまでおすすめではないと思いました。
また、純正のキースペーサーは一体型の大きなものはRealforce R2のAPCモデルにしか付属していないし、単キータイプのRGB用は値段が高いので、入手性が低いのもデメリットのひとつです。
キーストロークがどれだけ短くなるか
スポンジやキースペーサーを敷くことによってどれだけキーストローク(底打ちまでの距離)が短くなるのかまとめておきます。(デジタルノギスで実測)
1.5mm厚でキーストローク 4.0mm → 3.5mmになります。
2mm厚でキーストローク 4.0mm → 3.0mmになります。
ただ、底打ちまでのキーストロークが短くなっても、文字が入力されるアクチュエーションポイントは標準の2.2mmのままです。
2mm厚のキースペーサーだと、計算上、
- キーストローク 3.0mm
- アクチュエーションポイント 2.2mm
というふうに、底打ちに近い深さまで押さないと入力されないため、Realforceに慣れている人ほど余計な力が入ったりミスが増えたりすると思います。
キーストロークとアクチュエーションポイントを両方とも短くしたい人は、分解が必要になりますがオーリングによる改造も検討したほうが良いかもしれません。
まとめ
以上、Realforce用にキースペーサーを自作するのは不可能ではないんですけど、何かしらデメリットがあって「誰でも簡単に」というものではありませんでした。
Realforceでキーストロークやアクチュエーションポイントを短くしたいなら、おとなしくAPC機能付きのRealforce R2を買ったほうが良いかもしれません。
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「Realforceの選び方」はこちらをどうぞ。各機能の詳しい説明と、全機種を絞り込みできる一覧表を掲載しています。
その他、今までやってきたRealforceの改造と組み合わせると、通常モデルでもキーストロークとアクチュエーションポイントを割と自由に変えられると思うので、分解に抵抗のない人はやってみてください。
EVAというスポンジが東急ハンズにあります。とりあえず2mm厚。渋谷店にはもっと細かい単位であったかも。
触った記憶でいうともう少し硬い方が目的に近いかもですが、試してみては。
https://hands.net/search/?item_group_id=0030349&original_item_code=4560477170560&view=01
あとデザインナイフの方が加工しやすいかもです。ゴムをくり抜いてminiAxeのアクリル下に敷いたツイート(すいません見つからず)ではデザインナイフ使ってましたね。