タイピングの最適化と練習方法|実践的な運指を考える

タイピングの最適化とは、ワードによって臨機応変に、自分にとって最適な運指でタイピングすることです。

教科書通りのホームポジション・標準運指で何の疑いもなくタイピングしている人がほとんどだと思いますけど、よくよく考えたら標準運指には「遅い・疲れやすい」部分がたくさんあります。

今回はそんな標準運指にメスを入れ、実用的な、疲れにくい、速く打てる最適化のヒントをたくさん書きました。筆者はこのページで紹介している最適化のほとんどを普段から使用しています。

ざっと書くだけでも最適化の種類はこれだけあり、独自の運指を考えればいくらでも増えていきます。

タイピング最適化の例
  • 「ん」の [n] 1回と2回を使い分ける
  • b を左右使い分け
  • 「じ」→ zi と ji の使い分け
  • 「ふ」→ fu と hu の使い分け
  • u を中指で
  • 「で」→ d を中指で
  • 「き」→ k を人差し指か薬指で
  • y を左人差し指で
  • k を人差し指か薬指で
  • h を左人差し指で
  • n の次の h・j・y を中指で
  • 「かくこ」を cacuco で
  • 「ざ」の z を薬指で
  • t・g を右人差し指で
  • n を左人差し指で
  • m を親指で
  • 「ん」を xn で

ただし、すでにタッチタイピングが完璧にできている、上級者用の内容です。

まだ手元を見ながらタイピングしている人は、「タッチタイピングについて書いた記事」を先に読んでください。

タイピングの最適化は、タイピングの資格1級やそれ以上の競技タイピングを狙うとか、それなりにやる気や目的がある人向きのテクニックです。

人によっては最適化の習得は難しく、やってみてダメそうだったら無理はしないでください。

そこまでやるつもりは無い人でも、まずは標準運指に疑問を持つだけでも良いことあるので読んでみてください。

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ホームポジション・標準運指について

そもそも授業で習うような「ホームポジション」「標準運指」は理にかなってるのか?

タイピングの基本は「決まったキーは決まった指で!」と教えられるし、Googleで検索しても同じような答えがヒットします。

しかし、そもそも標準運指は合理的ではない部分があり、入力方式の特徴を無視した、無駄の多い配置になっています。

↓こちらは標準運指(みんなの運指表よりキャプチャ)
タイピング標準運指

※せめて最上段は「人差し指より長い中指」「小指より長い薬指」を中心に打ったほうが良いと思うんですけどね。

↓最上段だけ指の長さに合わせて変えた運指。
指の長さや向きに合わせて変更した運指

それ以外の「標準運指は無駄の多い配置」ということについては、これから後を読んでいけばわかると思いますが、人間の指は長さ・筋力がそれぞれ違うのと、日本語をローマ字入力で入力する時の子音(しいん)[KST…]と母音(ぼいん)[AIUEO]の役割があるため、標準運指でタイピングすると、打ちにくいワードが避けられません。

なので、運指の最適化によって、打つ指やキーを臨機応変に変えて、実用的な、疲れにくい、速く打てる運指にしていきます。

↓ちなみにこちらが筆者の最適化された運指。このページで紹介している最適化の多くを取り入れています。

タイピング最適化の種類

それじゃぁ実際にタイピングの最適化にどんなものがあるのか紹介していきましょう。

一応、最初に紹介するものほど基本的な最適化で、後半のものほどマニアックで難しいと思います。

「ん」の n 1回と2回を使い分ける

ローマ字入力では、n の2回入力 [nn] で「ん」になりますが、次のキーによっては [n] が1回でいい場合があります。

細かく書くと「ん」の次の文字が母音(あいうえお)・な行・や行だったら [n] 2回必要だが、それ以外の場合は [n] 1回でOK。

入力する単語によってN1回と2回を使い分ける最適化。

これじゃぁよくわからないので、例題で書いてみます。

「ん」n の回数使い分け

●「ん」N2回必要
「三位」(さん)sanni(んの次が母音)
「三人」(さんん)sannnin(んの次が「な行」)
「山陽」(さんう)sannyou(んの次が「や行」)

●「ん」N1回2回どちらでもOK
「参考」(さんう)sankou(んの次が母音・な行・や行以外すべて)

最初のうちは全部 [n] 2回でも良いと思いますが、普段から [n] 1回でも入力できるワードがあるということを意識しておくと、だんだんできるようになっていきます。

※ちなみに「ん」を [xn] で入力する最適化もありますが、あまりにもマニアックなので最後のほうで紹介しています。

b を左右で打ち分ける

標準運指だと左手で入力する [b] キーですが、ホームポジションのちょうど真ん中にあるので、入力のしやすさは右手も左手も同じ。

だったら右手でも [b] を打とうという最適化です。

↓下図のように、[b] を右手で打つと「ば」「べ」が打ちやすくなります。

Bを右手と左手で使い分ける最適化。

「b」左右打ち分け

●左手b(標準運指)
病院、武器、ボコボコ、ボム、

●右手b(最適化)
バタバタ、べたべた、ベラベラ、ベチベチ、サバサバ、バラバラ、ぶつぶつ、別腹、食べる、ラベル、ベルマーク、便利、バファリン、~べし

特に「べ」は標準運指だと「左人→左中」なので意外と大変。「~べし」のように、次に [s] が来たらさらに大変。

なので、 [b] の左右打ち分けが自由自在にできるようになると疲れにくくなります。

「じ」→ ji と zi の使い分け

「じ」は [ji] と [zi] どちらでも入力できるため、ワードによって打ちやすいほうで打つ最適化です。

ziとji、打ちやすいほうで打つ最適化。

ただし [z] は小指で打鍵するため筋力が足りずに逆効果かもしれないので、普段 [ji] を使っている人は無理に [zi] を使わなくても良いかもしれません。

競技タイパーではなく、実用入力が目的なら全て [ji] でも良いでしょう。

ちなみにオレンジなどの「んじ」の最適化の例として
n(右人)→ j(右中)→ i(右薬)がよく語られますが、
n(右人)→ z(左小)→ i(右中)でもそこまで減速しないし、最後の i が中指になるのでその後の打鍵が従来どおりにできます。

「ji」と「zi」最適化

[zi]
うじうじ、くじ、じんじん、羊、もじもじ、しみじみ、オレンジ、チャレンジ、ひもじい、しゃもじ、感じる、エンジン、

[ji]
じたばた、じわじわ、自画自賛

「ふ」→ fu と hu の使い分け

「ふ」は [fu] と [hu] どちらでも入力できるため、ワードによって打ちやすいほうで打つ最適化です。(※ [hu] の u は中指で打鍵します)

huとfu、打ちやすいほうで打つ最適化。

[hu] は、下の例に書くようによく使いそうな擬音語・擬態語で明らかに加速できるので重要になります。

[fu] は高速化の点ではそこまでの差はつきませんが、右手連続が少し減るので、実用タイピングだとちょっと楽になることはあります。

「fu」と「hu」最適化

[fu]
冬、ふんふん、ニフラム、不意打ち、不可能、

[hu](uは中指)
ふらふら、ふわふわ、ふさふさ、ふがふが、札(ふだ)、フタ、

「ぬ・む」→ u を中指で

「ぬ・む」[nu]・[mu] は標準運指では右人差し指→右人差し指の連続打鍵になりますが、これの [u] を中指で打鍵する最適化です。

「ぬ」と「む」のuを中指で打つ最適化。

  • 標準運指:N(右人)→ U(右人)
  • 最適化 :N(右人)→ U右中

標準運指だと最下段 [n][m] から2段上 [u] までの同指連続打鍵になるのでどうしてもスピードダウンしてしまうし、無理に速くしようとするとミスになるので、[u] を中指打鍵にするだけでかなり入力しやすくなります。

ちなみに [u] を中指で打鍵した後の [i] は薬指で打鍵して、一応、同指連続打鍵を回避することはできます。 [i] 薬指の後、さらに薬指連続打鍵になる可能性は低いので、ほとんどデメリットはありません。

「ぬ・む」→ u 中指最適化

[nu]
塗る、地主、脱ぐ、カヌー、

[mu]
無意味、無知、無表情、無料

u を中指で

「ぬ・む」に限らず、 [u] 中指だと、同指連続打鍵をかなり避けられるのでおすすめの最適化です。

uを中指で打つ最適化。

Uは母音、 YHNJM は子音なので、ローマ字ではこれらが前後に組み合わさることが非常に多くなります。

それなのに標準運指だとUと YHNJM がすべて人差し指に割り当てられているので、同じ指の連続打鍵になりやすく、「遅い・疲れる」ダメダメ運指ということになります。

なので、最適化によって [u] を中指で打つだけで、かなりの連続打鍵が避けられて、「速い・疲れにくい」運指に生まれ変わります。

ただし一応デメリットもあって、U(中指)の後の IKは同指連続打鍵になるので、IKを薬指で入力するなどの回避策が必要になります。

結果、メリットとデメリットを比べた場合、最適化によるメリットのほうが遥かに大きいので、U は中指を標準にしてもいいくらい良い運指なんじゃないかと思います。

「で」→ d を人差し指で

「で」[de] は標準運指では左中指→左中指の同指連続打鍵になりますが、これの [d] を人差し指で打鍵することによって最適化をします。

「で」の最適化は、タイパーではない普通の人にもおすすめです。

「で」のdを人差し指で打つ最適化。

  • 標準運指:D(左中)→ E(左中)
  • 最適化 :D左人)→ E(左中)

都合の良いことに、人差し指は [d] の直前に打鍵することがほぼ無い(母音を打鍵する指じゃない)ので、日本語のローマ字入力だと「で」の最適化はほとんどデメリットがありません。

そして日本語には「それで」「ところで」「なので」「です」「でした」「できます」「でしょう」「ですよね」というように、「で」は接続詞や文末に非常によく使われるので、仕事でも多用する文字となっています。

競技タイパーではない、普通に仕事する人にも広くおすすめできる最適化ですね。

「で」→ d 中指最適化

それで、それでは、ところで、なので、です、でした、できる、できます、できない、でも、上出来、出来過ぎ、でしょう、ですよね、まで、筆、ブランデー、メディア、おめでとう、デレデレ、おでこ、ひとりでに、出口、デジタル、

「き」→ k を人差し指か薬指で

「き」[ki] は標準運指では中指→中指の連続打鍵になりますが、これの [k] を人差し指か薬指で打鍵することによって最適化をします。

「き」のkを人差し指か薬指で打つ最適化。

  • 標準運指:K(右中)→ I(右中)
  • 最適化1:K右人)→ I(右中)
  • 最適化2:K右薬)→ I(右中)

[k] を人差し指で打つのか薬指で打つのかはワードによって変わってくるので慣れるのは難しいですが、片方だけでもそれなりに最適化できます。

直前の打鍵が [o](薬指)または [i](中指)の場合は [k] を人差し指で打ったほうが良いと思います。

直前の打鍵が [u](人差し指 or 中指)の場合は [k] を薬指にしたほうが理論上は速くなりますが、指が上手く動かない可能性があるので人によって最適な運指は違ってきます。

「き」→ k を人差し指か薬指で

●「き」→ Kを人差し指
ケーキ、キオスク、沖縄、エポキシ、領域、生きる、いきいき、~おきます、
直前が [i] [o] [-] だとやりやすい。加速できるワードがやや多い。

●「き」→ Kを薬指で
のんき、乱気流、短気は損気、半吉、満期、キラキラ、
直前が [n] だとやりやすい。加速できるワードは少ないが、ホームポジションの形が崩れにくい。

●「き」→ Kどちらでも
綺麗、石器時代、責任、

y を左人差し指で

「きゅきょ、にゅにょ、みゅみょ、ひゅひょ」は、標準運指だと右手だけで減速しやすい文字なので、2打鍵目の [y] を左人差し指で入力することによって一気に加速&疲れにくくします。

yを左人差し指で打つ最適化。

  • 標準運指:N(右人)→ Y(右人)→ U(右人)
  • 最適化 :N(右人)→ Y左人)→ U(右人)

特に標準運指だと人差し指連続打鍵&最下段スタートの「にゅ・にょ・みゅ・みょ」で効果が高いのでおすすめ。

「ひゅ・ひょ」も [h] と [y] の距離は近いけど連続打鍵じゃなくなるので一応効果あり。「きゅ・きょ」は同指連続打鍵ではないので最適化しなくても指の運動能力が高ければ大丈夫っちゃ大丈夫。

他にも「ゆ・よ」でも効果が高いワードが多いので、実用入力では最も役に立つ最適化の一つかもしれません。

yを左人差し指で打つ最適化。

[y] はホームポジションの真ん中からわずかに右に寄っているだけなので左手で打鍵するのがそんなに難しくなく、仕事で使うだけの実用入力でも十分おすすめな最適化です。

[y] 左人差し指手最適化

入居、入手、その他いろいろな「入◯」、導入、購入、明朝、標準、実用入力、必要、昼用、費用、用意、不用意、雪、~するように、ひやひや、にやにや、もやもや、

「かくこ」→ cacucoで

「かくこ」をローマ字で入力すると [kakuko] と [cacuco] どちらでも入力できるため、ワードによって打ちやすいほうで打つ最適化です。

「かくこ」をcacucoで打つ最適化。

  • 「ピカピカ」
    • 標準運指:P(右小)→ I(右中)→ K(右中)→ A(左小)
    • 最適化 :P(右小)→ I(右中)→ [C](左中)→ A(左小)
  • 「高校」
    • 標準運指:K(右中)→ O(右薬)→ U(右人)
    • 最適化 :[C](左中)→ O(右薬)→ U(右人)
  • 「コク」
    • 標準運指:K(右中)→ O(右薬)→ K(右中)→ U(右人)
    • 最適化 :[C](左中)→ O(右薬)→ [C](左中)→ U(右人)

ただし、通常運指の [kakuko] でもそんなに打ちにくいわけでもなく、仕事で使うだけの実用入力だと最適化しなくても問題ありません。

「かくこ」→ cacuco の最適化は、タイピングの記録をさらに伸ばしたい競技タイパー向けだと思います。

特に「こう」[cou]、「こく」[cocu]、が加速できる文字で、使用されているワードが非常に多いため、これだけでもできるようになるとタイピングが随分楽になります。

「cacuco」最適化

ピカピカ、ぷかぷか、ぽかぽか、むかむか、高校、広告、報告、航空、大工、購入、国民、公認、後輩、濃厚、コイン、インク、条項、憎い、肉、記録、ところ、

「~ ika」の k を薬指で

この最適化が使える状況は限定されますが、[i] の後に [ka] 、さらに次の打鍵が左手の時限定ですが、[k] を薬指で打つことによって速く楽に入力できます。

「ika」のkを薬指で打つ最適化。

  • 「地下室」
    • 標準運指:T(左人)→ I(右中)→ K(右中)→ A(左小)→ S(左薬)→ …
    • 最適化 :T(左人)→ I(右中)→ K右薬)→ A(左小)→ S(左薬)→ …

「地下室」の場合、他にも ticasitu で [c] を使う方法が考えられますが、cas の部分は指の運動能力が高くないと難しい運指になるので、tikasitu のほうが楽に打てます。

「~ ika」最適化

しかる、最下層、以下同文、スイカ割り、直談判、いかだ、地下室、理科室、ハイカラ、ニカラグア、

h を左人差し指で

[h] を左人差し指で打つ最適化です。

hを左人差し指で打つ最適化。

  • 「方法」
    • 標準運指:H(右人)→O(右薬)→U(右人)→H(右人)→ …
    • 最適化 :H左人)→O(右薬)→U(右人)→H左人)→ …

「方法」は他にも [u] を中指にして、右手だけで打鍵する最適化がありますが、ちょっと難しいので、「方法」に限ってはこの最適化のほうが楽に打てます。

「ほいほい」は右手だけでも同指連続打鍵にはなりませんが、[h] を左手で打ったほうが楽になります。

[h] は手からは少し距離が遠いですが、慣れればそんなに難しくない最適化です。

h 左手人差し指

方法、情報、広報、同胞、朗報、双方、合法、法王、商品、納品、ほいほい、~のほうにある、

n の次の h・j・y を中指で

[n](人差し指) の次の [h] [j] [y] を中指で打鍵する最適化です。(ただし次の母音が [a]、[e] に限る)

nの次のh・j・yを中指で打つ最適化。

  • 「にゃ」
    • 標準運指:N(右人)→ Y(右人)→ A(左小)→ …
    • 最適化 :N(右人)→ Y右中)→ A(左小)→ …

具体的には「んへ」[nhe]、「にゃ」[nya]、「んじゃ」[nja]のような文字で使えます。

ただし、「誕生日」[tanjoubi] など、[h] [j] [y] の次が右手打鍵になるワードでは役に立たないので、ワードを瞬時に判断するのが難しめの最適化になっています。

n の次 h・j・y 中指

アンジャッシュ、なんじゃ、ロンドンへ、ロンドンハーツ、タンジェント、ニャーニャー、般若、

「ざ」→ z を薬指で

「ざ」[za] の z を薬指で打鍵することによって、小指連続打鍵を避ける最適化です。

「ざ」のzを薬指で打つ最適化。

  • 「うざい」
    • 標準運指:U(右人)→ Z(左小)→ A(左小)→ …
    • 最適化 :U(右人)→ Z左薬)→ A(左小)→ …

指の中で一番弱いだろう左小指の連続打鍵を避けられるので、使いこなせれば非常に速く、疲れにくくなります。

ただし、そもそも薬指と小指は弱いし、手の角度や位置を変えたり、左中指を誤爆したりと、最適化の中でも難易度が高めです。

実用入力で自由自在に使いこなすためには結構な練習が必要だと思います。自分もまだ特定のワードでしか使用していません。

「ざ」の後が右手打鍵のワードだと打ちやすいです。

「ざ」→ z 薬指

洗剤、現在、素材、財務、蔵王(ざおう)、トランザム、ザブザブ、ザーボン、残念、残暑、雑魚、無残、登山、さざ波、サザンカ、座談会、~ございます、

競技タイピングせず、実用入力できれば良いという人であれば、「ざ」に関しては後半で紹介するローマ字テーブルのカスタマイズを使ってズルしたり、単語登録で「wz → わざわざ」「zw → ざわざわ」「wt → わざと」など、特定の打ちにくい単語を工夫したほうが現実的だと思います。

t・g を右手人差し指で

「が」や「た」の g や t を右手人差し指(もしくは右手中指)で打鍵することによって、同手連続打鍵を避ける最適化です。

t・gを右手人差し指で打つ最適化。

  • 「ガタガタ」
    • 標準運指:G(左人)→ A(左小)→ T(左人)→ …
    • 最適化 :G右人)→ A(左小)→ T右人)→ …
  • 「あがる」
    • 標準運指:A(左小)→ G(左人)→ A(左小)→ …
    • 最適化 :A(左小)→ G右人)→ A(左小)→ …

これは英語のタイピングをしていた時に、やたら t g v を右手人差し指で打鍵したほうが打ちやすくなることが多かったので、日本語でも考えてみると結構最適化できそうな単語があることに気づきました。

※ホームポジションのフォームによっては中指のほうが届きやすい人もいるので、人差し指と中指、両方試してみてください。

一般的な文章だと「~aがる」「~aげる」「~aがった」がよく出てくるので、特に [G](右人)が役に立つことは多いです。

「た」「が」「ら」「ふぁ」「だ」「さ」などの[あ行]が連続で絡んでくる単語で、同手で小指が絡む連続打鍵を避けられるため、スピードアップと疲労軽減の効果あり。

ただし他の最適化と比べてホームポジションからの距離が遠め(特に t は遠め)なので、実用レベルまで習得するのは先読みがしっかりできないと、ちょっと難しいかもしれません。

t・g → 右手人差し指

あがる、さがる、あげる、さげる、あがった、さがった、まがる、まげる、まがった、あさって、ばったり、がてら、あたり、新しい、やたら、ガタガタ、ガラガラ、たらたら、ガサガサ、がつがつ、がたつく、けたたましい、ありがたい、あたたかい、カタログ、たがやす、戦う、世知辛い、あたかも、裏側、下駄、配列、タガが外れる、

n を左人差し指で

単語や前後の文字によって用途は限定されますが、[n]を左人差し指で打鍵することによって、右手の同指連続打鍵を回避します。

この最適化がとくに威力を発揮するのはnの手前がouiuのときで、「今日の(kyouno)」などは右手の最適化ができたとしても単純に難しくなってしまうので、左手でnを打つだけでかなり改善されます。

  • 「今日の(kyouno)」
    • 標準運指:K(右中)→ Y(右人)→ O(右薬)→ U(右人)→N(右人)→ O(右薬)
    • 最適化1:K(右中)→ Y(左人)→ O(右薬)→ U(右人)→N左人)→ O(右薬)
    • 最適化2:K(右中)→ Y(左人)→ O(右薬)→ U右中)→N(右人)→ O(右薬)

※最適化2は無理やり右手だけで最適化。単純に指を動かすのが難しい。

ただ、n 左人差し指が良いと言っても、たとえば「今日なら」だと n 左人差し指は逆に遅くなったりするので、効果的な単語を瞬時に使い分けるのはかなり難しく、競技タイピングでもない限りはおすすめしません。

n → 左人差し指

今日の、というのは、効能、小脳、小児科、常任理事国、承認、商人、町人、応仁の乱、公認、放任、病人、表に、表の、容認、浪人、郷に入れば郷に従え、上納金

m を親指で

[m] を親指で打鍵することによって、[y] 、[u] あたりの打鍵がしやすくなる最適化です。

mを親指で打つ最適化。

  • 「む」
    • 標準運指:M(右人)→ U(右人)
    • 最適化 :M右親)→ U(右人)
  • 「みゅ」
    • 標準運指:M(右人)→ Y(右人)→ U(右人)
    • 最適化 :M右親)→ Y(右人)→ U(右中)

自分は使ってませんが一応紹介。競技タイピングで時々見かける最適化。

ただ、親指で打鍵するなら、当然手前の変換キーが邪魔になってくるので、人によっては変換キーを外しています。

自分はKeySwap変換キーにShiftを割り当てているのでこれからも [m] 親指を採用する予定は無し。

個人的には「む・みゅ・みょ」は他の最適化もあるので、それ以上のレベルのスコアを求めるのでなければ [m] 親指は必要ないと思います。

n の連続入力を xn で回避する

なんのこっちゃわからんと思いますが、例えば「うんぬん」をローマ字で打つと、普通なら unnnun ですが、これを uxnnun と打ちます。[xn] で「ん」になるので、[n] の連続打鍵を減らせます。

連続打鍵を1打減らすためにわざわざ打ちにくい [x] を打つのでかなりマニアックで、よっぽどタイピングのスコアを狙っているような上級者じゃない限りはおすすめしません。仕事やレポートで使う程度の実用入力では必要ないテクニックです。

最適化による疲労軽減の効果

最適化を導入するとどのくらい疲れにくくなるのか考えてみます。

まずは基本的なローマ字入力のキー別打鍵数を引用。

1万字のかなを入力する場合の打鍵数によると、

ローマ字入力の打鍵数。1万字のかなで17019打鍵。

ローマ字入力は全体的な傾向として、右手のほうが打鍵数が多くなるようです。(綴りが複数あるものはこちらのページに記載のキーを採用しているので、人によって多少違います)

ただ、指が疲れる原因は「同じ指での連続打鍵」や「同じ手の連続使用」も影響してくるので、単なる打鍵数で疲労度を算出できるものでもありません。

今回紹介している最適化を左右の使い分けに着目して大まかに分類した結果が以下の通り。

  • 左右打ち分け
    • b を左右で打ち分ける
    • 「じ」→ ji と zi の使い分け
    • 「ふ」→ fu と hu の使い分け
    • 「かくこ」→ kakuko と cacuco 使い分け
  • 左手で肩代わり
    • y を左人差し指で
    • h を左人差し指で
  • 右手で肩代わり
    • g を右手人差し指で
    • t を右手人差し指で

この中では特に「かくこ→ kakuko cacuco 使い分け」と「y を左人差し指」は打鍵数の分散だけでなく、右手連続使用の割合がグッと減るので、疲労軽減を実感できると思っています。

例えば極端な例ですが以下のようにすべて右手打鍵のワードで、このくらい左右に分散されて楽になります。

  • 「高校球児の」
    • 標準:koukoukyuujino
    • 最適:coucoukyuuzino
  • 「公共広告機構」
    • 標準:koukyoukoukokukikou
    • 最適:coukyoucoucocukicou

特に「こう」「こく」「きょう」は非常に多くの単語で使われるので、最適化によって楽になる単語はかなり存在します。

これ以外の細かいものでも、最適化は「同指連続打鍵」と「同手連続使用」を避けるものがほとんどのため、かなり疲労軽減の効果を期待できるんじゃないでしょうか。

タイピング最適化の練習方法

最適化は「判断力・先読み力」が必要になります。なぜなら「どの指で打つのか」「どのキーで打つのか」を瞬時に判断しないといけないためです。

そのため、指の筋力よりも、脳の負荷を下げるトレーニングが必要になります。「どの指・キーで打つのか」、無意識で指が動くようになるのがゴールです。

といってもやることは単純で、

ついつい標準運指で打ってしまったワードや、打つまでに時間がかかったワードを反復練習

するだけです。タイピングゲームでもふだんの仕事のタイピングでも良いので、最適化できそうなワードなのに、ついつい条件反射で標準運指で打ってしまったり、最適化運指で打つのに時間がかかったワードをメモしておいて、後でまとめてテキストエディタに繰り返し入力していきます。

標準運指で打ったり時間がかかったワードは脳への負荷が高いワードということになるので、そのワードを、無意識で打てるようになるまで(脳の負荷がほとんど無くなるまで)反復練習すれば効果的に克服できます。

↓例えばこれはタイプウェルで最適化できそうなワードをメモしたもの。(タイプウェル以外も混じってるかも)

タイピング最適化の練習方法。気になったワードをメモ帳に控えて反復練習。

見ての通りちょっと狂気を感じる練習風景なんですけど、競技タイピングじゃなくても、仕事で問い合わせ返信とかする人は、よく使うワードをメモしておくと、かなり効率的なタイピング練習ができるので、時間の無い社会人にこそおすすめの練習方法です。

楽器の練習と同じですが、いきなり通しで練習すると、難しいところでいつも詰まってしまい、効率が落ちます。

「単語」→「前後の文節」→「一文」→「初見の文章」というふうに、脳の負荷が少ないものから反復練習することによって、とっさに出てきたときも余裕を持って入力できるようになります。

ーーー

最終的には、普段の文章入力でも無意識に先読みして、瞬時に最適化できるようになってきます。

例えば「できるようになってきます」だけでも、
dekiruyouninattekimasu)
このように、最適化ポイントが5箇所ありますね。

他にも、最初のうちは1打鍵目を最適化運指で入力するのが難しいですが、慣れてくると「生む」[umu] でも、1打鍵目の [u] を中指で打鍵できるようになります。

すべて無意識に最適化運指にできるようになると、今までのタイピングとは快適さが全然違うので、地味な練習に耐えられるようなら頑張ってみてください。

ーー追記ーー

タイピングソフトで最適化練習

permilさんのブログで、TypeLighterというソフトを使った、具体的な練習方法が紹介されていました。

実用的な最適化ができれば良い、という程度ならさっきのメモ帳で十分ですが、競技タイピングの世界で通用するレベルで、本格的に最適化を特訓したいならどうぞ。

↓以下、引用。

典型的な最適化ワードを集めて TypeLighter の長文モードでひたすら打ち、 慣れてきたら少しワードを増やしてまた打ちこむということをやっていました。 実際のファイルがこれです。

タイピング練習ソフト「TypeLighter」を使った最適化の練習。

引用:タイプウェルを10年ぶりに更新した話、または完全固定運指からの脱却の道程 (前編) – permilの日記

最適化以外の文字入力効率化

実用入力(漢字変換込みの和文)の効率をさらに極めたいという人は「単語登録」「ローマ字テーブルのカスタマイズ」という手段があります。

ただし注意点として、普通に仕事をする程度でそこまでやる必要は無いし、自分のパソコン環境でしか使えないテクニックなので、タイピングゲームやタイピングの大会では使えない、言ってみれば邪道のようなテクニックになります。

すでに社会人で、タイピングの大会には出ない、タイピングの資格も取らない、普段の仕事が便利になればそれでいい、という人なら調べてみても良いと思います。

単語登録

よく使う単語や記号を単語登録しておくと、Shift打鍵を避けたり、長い定型文も一瞬で入力できるようになります。

  • j → 「
  • k → 」
  • っj → (
  • っk → )
  • h → ?
  • y → !
  • m → ●
  • s → ★
  • t → &
  • q → “
  • c → →
  • っc → ←
  • x → ↓
  • っx → ↑
  • z → ※
  • b → ・
  • いr → いろいろ
  • wz → わざわざ
  • zw → ざわざわ
  • wr → 我々
  • mt → もともと
  • sm → そもそも
  • sr → そろそろ
  • sz → さまざまな
  • ありs → ありがとうございます。
  • ありt → ありがとうございました。
  • おt → お疲れ様です。
  • おtd → お疲れ様でした。
  • おts → お問い合わせ

人によって考え方が全然違うので、興味がある人は「単語登録 効率化」などでGoogle検索してみてください。

ローマ字テーブルのカスタマイズ

そもそもローマ字の、[ka] で「か」になるというような設定は、変更したり、新しく定義したりできます。

たとえば個人的なカスタマイズですが、最適化しても明らかに難しい「ざ」[za] を [va][xa][zl]などで、「わ」[wa] を [wl]など。小指連続打鍵や、薬指と小指の酷使を避けます。

これらは邪道で、タイピングゲームには使えないテクニックですが、競技をしない普通の人であれば問題ありません。

弱い指に負担をかけたくないなら非常に効果的です。

これについてはローマ字テーブルについて書いた記事もあるので、読んでみてください。

参考リンク

最後に、タイピングの最適化や運指について書かれているブログを貼っておきます。

ここまで書いてきた内容は、どちらかといえば実用的なレベルにとどまるので、より競技向けの最適化を考えたい人は以下の記事も参考になると思います。

タイピング初心者でも取り入れやすい「最適化」5種類
タイピングが速くなる「最適化」24種類」(のんびり優先探索)
キーボード図付きでたくさん紹介されている記事。違った考え方の最適化が見れるので、見比べてみると幅が広がる。当記事と同じレベルの人が読むのにちょうど良い。

QWERTYローマ字 最適化一覧」(orihのタイピング雑記)
例が多く、運指番号でコンパクトに記載されていて、トップタイパーの実例もリストアップされているので、もう少し上級者が読むとステップアップに良いと思う。

禁断の秘技 最適化」(みるくたいぷ)
最適化の紹介に加えて、目的別の打鍵トレーナーが用意されている。特に打ちづらいワード打鍵トレーナーは最適化運指が網羅されている。

講演:最適化について再考する」(化学日記)
最適化そのものについて、さらに深く掘り下げ、考察までしたい人向け。

最適化をもっと頑張る」(paraphrohn’s diary)
競技タイパーじゃなければもはや参考にならないレベル。上位最適化タイパーの思考。

「タイプウェルを10年ぶりに更新した話、または完全固定運指からの脱却の道程 導入編前編後編」(permilの日記)
なぜ最適化をするに至ったのか、その理由と、具体的な練習方法。

RTC2018に参戦した話と入力最適化への第一歩」(ルービックキューブと君を攻略)
cacuco、u中指など。導入前後のKPM比較とか。

私の運指について??」(のんのメモ帳)
独自運指の手元動画が貴重。タイプウェル24.1秒の手元あり。

typing
ページ内のRingo最適化講座。okuを区切って打鍵するのさえロス。普通の人はロスと思わない部分にもメスを入れる。

ーーー

↓ブログ内関連記事。

関連:ブラインドタッチのコツと練習方法

関連:タイピングの手元動画まとめ|最適化や運指の参考に

関連:タイピング検定(資格)と練習方法

関連:ローマ字入力とかな入力どっちが良いのか

関連:KeySwapの使い方と、キーボード割り当て変更のおすすめ設定

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『タイピングの最適化と練習方法|実践的な運指を考える』へのコメント

  1. […] タイピングの最適化と練習方法|実践的な運指を考える […]

  2. 名前:匿名 投稿日:2018/12/10(月) 18:51:38 ID:be5d12897 返信

    打ちにくい文字が気になり始めてよく聞く最適化について調べたらこの記事に当たりました。さっそくタイプライターで練習しようと思います。ありがとうございます。

  3. […] 「 タイピングの最適化と練習方法|実践的な運指を考える 」より引用↓ […]

  4. 名前:タイピングを頑張りたいという話(運指の最適化) | 背景 投稿日:2020/04/16(木) 21:37:31 ID:e704e6a41 返信

    […] タイピングの最適化と練習方法|実践的な運指を考えるタイピングの最適化とは、ワードによって臨機応変に、自分にとって最適な運指でタイピングすることです。教科書通りのホーム […]

  5. 名前:奈々子 投稿日:2020/10/17(土) 23:37:16 ID:863a30399 返信

    最適化をいろいろ試してみたのでその感想です。

    楽に入力できるようにする最適化はものによってはブラインドタッチがちゃんとできている初心者にもオススメできると思いますが、速くするための最適化というのは安易にオススメはできないと思いました。パソ活さんの云う様に上級者向けだと思います。

    理由としてはタイピングを速くする要素はいくつかありますがその中でもチャンク化というのは避けては通れないと思います。
    最適化をする場合、最適化を覚えてさらにチャンク化も覚える必要があるので二度手間になり、その手間を別の単語や文章のチャンク化に使ったほうが良いのでは?と思いました。脱線しますが速くするためにローマ字入力からかな入力や親指シフトに移行する場合も同様と考えます。

    第二に最適化を覚える事自体がなかなか大変です。判断を必要としない「で」や「き」などの最適化は割とすぐ習得できますが判断を必要とする最適化は習得するまでかなり大変だと思います。また判断が必要な最適化は最適化できるワード探しも大変でその点でも苦労しました。

    さてそんな中でも個人的に最適化してよかったと言えるのは「で」「き」「uを中指で」「yを左人差し指で」「ざ」「XNで、ん」です。

    見てのとおりXN以外は適当に使ってもデメリットの小さい物ばかりです。XNは判断を必要としますがNかXNかと判断する中で誤入力でもNNよりXNと入力したほうがマシな場合が多いのでこれも良かったと思います。
    中Uはブラインドタッチできなかった頃からやってたので気づかずにやってました。
    左人Yは習得が大変でしたがそれでも強引に右中でYを押すよりも入力しやすく誤入力も右中Yと同じくらいで何よりあとに続く母音がOのときに(みょ myoなど)入力しやすいのでこれは苦労してでも習得する価値は大きいと思いました。

    逆に判断が必要な最適化は練習を積んで意識してタイピングしないと実際のタイピングではなかなか使う事が出来ないので苦労してます(特にC)。なのでたまに使えたら儲けものくらいに思ってます。

    • 名前:奈々子 投稿日:2020/11/11(水) 23:48:09 ID:17d31d061 返信

      XNについて訂正します。

      XNはすべての“ん”をXNで入力する場合はいいですが、NとXNで打ち分ける場合は、正確に打ち分けるか、XNと入力するところを先にNと入力した場合、素早くもう一度Nを入力できる判断力がないと、かなり使い難いです。
      つまり使い方によっては判断のいる最適化です。

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